是枝裕和監督『真実』の頬キスにこだわり!カトリーヌ・ドヌーヴとの実体験を反映
是枝裕和監督が25日、都内で行われた映画『真実』のティーチインイベントに登壇し、頬キスシーンのこだわりを明かした。
本作は、『万引き家族』でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した是枝監督が描く家族の物語。国民的女優・ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)が、自らの自伝を出版したことから、その娘・リュミール(ジュリエット・ビノシュ)との間に隠された真実が露わになり、さまざまな感情がふき出していく姿が描かれる。
鑑賞後の観客から、「自身が作った脚本から離れた世界観を役者が作り出すことはあったか?」と問われた是枝監督は、「現場でアドリブが出てきたわけではない」としながらも、「観察しながら足していったところは結構ある」と打ち明け、「ファビエンヌが酔っ払って、『じゃあ明日ね』とハンク(イーサン・ホーク)の頬にキスをする位置」にこだわりがあったことを紹介。
毎日の撮影が終わって帰る際、ドヌーヴはいつも是枝監督に「お疲れさま」のキスをしていたというが、是枝監督は「いいお芝居ができた時のキスの位置はこの辺(口元)なんですよ。普通はここ(頬)なのに口元によって来るので、それが結構衝撃的だったもので(脚本に)書きました。そういうところは(役者と)一緒に作っていく感じ(がした)」と顔をほころばせた。
そんなドヌーヴについて、「ファビエンヌさんみたいに面倒臭い人じゃなかったですか?」と直球質問が投げられると、是枝監督は「面倒臭いか面倒臭くないかと言われたら面倒臭いけど、ただ面倒臭いだけの人だったら、こんなにみんなが彼女のことを好きにならない」と回答。そして、「人柄にウソがない。いいお芝居ができた時は子供のようにうれしそうにするし、早く帰りたいときは『早く帰りたい』とはっきり言うし、ごまかしがない」とその魅力を伝えた。
さらに、「毎日遅刻してくるけど、楽屋に入ってから『昨日寝られなかったのよ』とか『セリフ入ってないよ』『今日はいいお芝居ができないかもしれない』と予防線を張りはじめるんだけど、それも途中から可愛くなってきたくらい楽しい方でした」と嬉しそうに話していた。(取材:錦怜那)
映画『真実』は全国公開中