宮野真守『HUMAN LOST 人間失格』で日本文化伝えたい
第32回東京国際映画祭
第32回東京国際映画祭で特別招待作品として上映される太宰治の小説「人間失格」を原案にした長編アニメーション『HUMAN LOST 人間失格』に声優として参加している宮野真守、花澤香菜らが28日、同映画祭のレッドカーペットに登場。ステージに上がり、代表してマイクを持った宮野が「有名な太宰治の『人間失格』を原案に日本が打ち出すダークヒーローものです。かなり激しいアクションです。エンタメ作品として皆さんの心に突き刺さることは間違いないです」と力強くアピールした。
レッドカーペット後のインタビューで宮野は「世界観的には、まったく新しい世界で物語がつむがれますが、太宰治の『人間失格』が持つ『わび・さび』みたいなものをテイストとして自分の気持ちの中で入れておきたかった」と話し、「(本作で)日本の文化の良さを伝えられたらいいなと思っていました」と続けた。
今作での「透明感のある演技」についてインタビュアーから質問された花澤は「彼女は透明感や清潔感とか、この子いい子なんだろうなって感じを見せられればと思ってやりました」と振り返った。
この日は宮野と花澤のほかに木崎文智監督、ストーリー原案・脚本を担当した冲方丁も参加した。原作と異なる本作ならではの世界観について聞かれた木崎監督は「いまの時代と太宰さんの描いていることの空気が似ているのが大きなところ。そこにSFの要素を混在させることによって新しいものが生み出せるのかなと思って」と明かした。
冲方は脚本について質問されると太宰の「人間失格」に込められたテーマは現代にも通じるとし、「それら要素をSFを通して提供するとこで、現代の我々の問題をさらに大きく考えて、長いスパンで未来のことを考えられるようになるのかなと思って書きました」と答えていた。
『HUMAN LOST 人間失格』では「医療革命後の昭和111年の東京」という近未来の東京が舞台になっている。宮野は死を克服した社会において生きる意味を見出せない主人公の大庭葉藏、花澤は国家機関“ヒラメ”の女隊員・柊美子の声を担っている。映画の公開は11月29日から。(編集部・海江田宗)