人気声優・花澤香菜、太宰治フリークだった
第32回東京国際映画祭
声優の花澤香菜が2日、TOHOシネマズ六本木ヒルズほかで開催中の第32回東京国際映画祭・特別招待作品『HUMAN LOST 人間失格』(11月29日公開)の舞台あいさつに出席。大学在学中から、太宰治のファンだったことを明かした。舞台あいさつには、木崎文智監督(「崎」は「たつさき」)、ストーリー原案・脚本を担当した冲方丁も登壇した。
本作は、太宰治の小説「人間失格」を原案にした長編アニメーション映画。近未来の東京を舞台に、死を克服した社会のゆがみを映し出したSF作品。花澤は国家機関・ヒラメの女隊員・柊美子を演じる。
花澤は大学時代、日本文学科に通っていたと明かすと「周囲が太宰治好きばかりで、一緒に文学散歩をよくしていました。(太宰が)入水自殺した玉川上水に行ったりもしていたんです」と太宰とは縁があったという。自身も太宰の作品は愛読しており「声が掛かったときはびっくりしましたが、いまこうした形で作品に関わることができたことはすごくうれしかった」と笑顔を見せた。
一方で、世界観をそのままに「人間失格」を現代、しかもSFとして描くことに花澤は「どういうふうになるのかまったく想像がつかなかった」と胸の内を明かすと、木崎監督は「相当苦労しましたが、古典文学とSFアクションを融合させることに興味があったのでやってみようと思いました。一筋縄ではいかないとは思っていましたが、ストーリーは冲方さんに担当していただけるので、なんとかなるのかなと……」と冲方を見る。
ストーリー原案・脚本を担当した冲方は「大変すぎてほとんど覚えていませんね」と苦笑いを浮かべていたが、「ブレイクスルーが2か所ありました」とポイントをあげると「まずは『人間失格』というタイトルの意味として、人間全体が失格する世界を描くこと、もう1点が、死を描くことが重要な作品ですが、むしろ死がない世界を描くことで、死を浮かび上がらせようと考えたことです」と説明していた。(磯部正和)