『ターミネーター』最新作、キャメロンと監督が編集過程で衝突
映画『ターミネーター2』(1991)の正統続編『ターミネーター:ニュー・フェイト』をプロデュースしたジェームズ・キャメロンは、シリーズの生みの親として、制作過程でも重要な役割を果たしていたようだ。現地メディア向けの合同インタビューの発言をCINEMABLENDが報じた。
キャメロンは現在、自身の大ヒット作『アバター』(2009)続編撮影の真っ最中。多忙もあってか、ティム・ミラー監督がメガホンを取った『ニュー・フェイト』のセットを訪れることはなかったという。「だから、新キャストにも面と向かって会ったことはないんだ。だが、脚本作業と編集作業には深くかかわった。私にとって、編集は脚本の延長にあるものだからね」
そのうえで『ニュー・フェイト』の初期ラフカットをチェックした際に「かなり雑で単調」に感じたというキャメロン。その後に変更が加えられたものの、プロデューサーのデヴィッド・エリソンとミラー監督の3人で、そこから「最高の映画」を取り出す作業にとりかかったという。「かなり不必要な道筋をたどっていると感じたんだ。僕は編集者でもあるから、幅広い範囲にわたって、具体的なメモを彼らに渡した」
ミラー監督とは意見が衝突する場面もかなりあったようで、「創造をめぐる戦いの血しぶきは、まだ壁に残っていると思う。この映画はそうやって鍛え上げられたんだ。でも、それこそが創造というものだろう?」というキャメロン。ただ、やはりロバート・ロドリゲスにメガホンを託した『アリータ:バトル・エンジェル』では、全く状況が違った。実際に『アリータ』公開当時のインタビューでロドリゲスは、キャメロンから「君の映画にして」と言われ「自分の映画は観たくない。僕は、あなたの映画をもう一本観たいんだ」と返答したことを明かしている。
「ロバートの時は、脚本を気に入った彼から『あなたの目線に立った映画を作りたい』と言われて、『いや違う、君の映画を作らなきゃ』って説得する感じだった。ティムとの場合は真逆の体験をしたね。彼は自分の映画を作りたがり、僕は『ああ、そうだね。でも僕の方が少しだけこの世界観を知っているんだ』って感じだった」。キャメロンとの共同作業については、ミラー監督も「緻密で、いつも明確な意見を持っている。それは、常に同意できる意見じゃないし、彼は僕のアイデアがいつも好きなわけじゃない(笑)。でも、最良の結果につながるような健康的なやりとりがあった」と明かしていた。
どちらにしてもキャメロンが、今回の正統続編で重要な役割を果たしたことは間違いなさそうだ。『ニュー・フェイト』については、現地ジャーナリストからSNSを通じて「『ターミネーター2』以降におけるベストの『ターミネーター』」など、おおむね好評なリアクションが投稿されている。(編集者・入倉功一)
映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』は11月8日に全国公開