小林薫「深夜食堂」裏話で熱弁 うどんに京都出身のこだわり
俳優の小林薫が6日、安倍夜郎の人気コミックを実写化した人気シリーズの新作「深夜食堂 -Tokyo Stories Season2-」配信記念スペシャルイベントに登壇。本シリーズで小さな食堂のマスターを演じる彼が、2009年の放送開始から10年という月日を経た心境を語った。イベントは都内のNetflixオフィスで行われ、不破万作、綾田俊樹、宇野祥平、吉本菜穂子、小林麻子、松岡錠司監督、小林聖太郎監督も来場した。
繁華街の路地裏にひっそりと佇む「めしや」を舞台に、そこに集う客たちの悲喜こもごもを描く本シリーズ。2009年に深夜ドラマとしてスタートして以来、日本のみならず韓国や中国などのアジアを中心に人気を博している。Netflixオリジナルシリーズとして10月31日から配信されている新シーズンは、原作コミックの人気エピソードにオリジナルエピソードを交えた全10話で構成された。
めしやをイメージしたセットに登場した小林は「10年前は小さかった子どもが、青年のようになって。ここまで成長するんだなと思いました。世界中で観てもらえるような作品になるなんて想像もしていなかったので、本当に驚いています」と感慨深げ。シリーズを通じて監督を務めてきた松岡監督も「これはとても脚本が大事な作品」と切り出すと、「25分以内で話を着地させなければいけない。皆さんが体験しているかどうかは別にして、非常にわかりやすい普通の人生というのは非常に共鳴しやすいですが、ちょっとでも違うと感じたらクレームがくる。普通の話を考えるのは難しいんですよ」と知られざる苦労を吐露。実際、この新作も脚本開発に11か月近くかかったことを明かす。
また、出演者が印象に残った「食べ物」について質問されるひと幕も。小林が「僕はきつねうどんにはうるさかったですね」と答えると、小林監督が「8年間一緒にやってきまして、あの時ほど料理に口を出してきたことはなかった。これは京都のあの店のじゃないととか、ねぎはこうやって斜めに切るんだよとか、うどんはコシのないのがいいんだよとか。芝居じゃなくて、うどんへの思い入れがあるなと」と述懐。それに対して小林は「僕は京都出身なんですけど、コシがあるうどんを、僕らはうどんと呼ばないんです。例えばカレーうどんになると、京都ではおあげを入れるんですが、それがうまいんです。ちょっと関係ないですが、そういう話が現場でつい出てしまうんですよ」と熱弁をふるい、会場を沸かせた。
めしやに登場する料理は『かもめ食堂』などで知られるフードスタイリストの飯島奈美が担当。めしやの常連客・忠さん役の不破が「僕の場合、自分の話がないもんで。大体人のやつをつまみ食いしてしまう。一通り食べましたけど、全部おいしかったです」と語る通り、常連客のキャスト陣は“つまみ食い”という形で料理に親しんでいるという。
そこでカメラマン・小道役の宇野が「実は(めしやの定番メニューである)豚汁もしっかりとは食べたことがないんです」と明かすと、お茶漬けシスターズ・ルミ役の小林麻子が「10年やってて、ちゃんと食べていなかったのがビックリ。飯島さんの豚汁は、具材の歯触りがしっかりしていて。これが本物の豚汁だなと感激しました。わたしはたらこを食べる機会が多いんですけど、見えていないときも、その都度きちんとあぶってくださって。その手間暇と愛情に感謝しています」としみじみ。お茶漬けシスターズ・カナ役の吉本も「撮影の小道具というのではなく、食べている人に楽しんでもらいたい。手羽先やささみのチーズカツが出た時もちゃんと揚げたてを出してくれて。それがとても美味しいんです。幸せだよね」と笑顔を見せた。
明日11月7日は松岡監督の58歳の誕生日ということで、サプライズでバースデーケーキが登場。それを見た小林薫が「58歳、まだまだ若造ですね」とジョークを飛ばすと、松岡監督は「小林薫さんが初めて『深夜食堂』に出演したのが58歳の時。僕とは10歳違うんですよ」とぶっちゃけていた。(取材・文:壬生智裕)
Netflixオリジナルシリーズ「深夜食堂 -Tokyo Stories Season2-」は独占配信中