ヒロアカ声優・山下大輝&岡本信彦、デクと爆豪の関係とは?思い語る
人気アニメ「僕のヒーローアカデミア」で主人公のデクこと緑谷出久の声優を務める山下大輝と、デクの幼なじみでライバルの爆豪勝己役の岡本信彦が、物語を重ねる中で見えてきたデクと爆豪の成長や2人の関係について、思いを語った。
【動画】『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』予告編
原作は週刊少年ジャンプで連載中の堀越耕平による大ヒット漫画。雄英高校ヒーロー科1年A組の生徒たちが、揺れる社会でプロヒーローを目指し奮闘する姿を描く。アニメはテレビシリーズ第4期が放送中。さらに劇場版『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』が、12月20日に公開される。
映画では、離島での校外ヒーロー活動のさなか、強大な敵と直面することになる。1-Aの生徒が総出演するなかでも、物語の主軸を担うのがデクと爆豪。そこでは山下が「事件」と例えるほどの出来事が2人を待ち受ける。
核心部について、山下は「もしかしたら1回じゃ理解できない人も多いんじゃないかな……。考察がいろいろ出てきそうですが、受け取り手自身の捉え方でいいと思います」と意味深なコメント。岡本とそれぞれの解釈を明かし合いながら、公開後のファンの反応を心待ちにしていた。
“デクイズム”が山下に影響!?
作中で平和の象徴と称されるオールマイトというヒーローにそれぞれあこがれた幼なじみ同士でありながら、複雑な距離にいる2人。関係の変化において、デクと爆豪が正面から激しく衝突したエピソード(アニメ第61話「デクVSかっちゃん2」)を経たことは大きいと話す山下と岡本。
「お互いに思いっきりぶつかったからこそ言い合えるというか。こうした方が絶対いいと思っていたことを口に出して言えるようになりました」と山下が言えば、岡本も「オールマイトに認められたのはデクだけという感じが爆豪は嫌だったんです。それがデクとオールマイトが共有していたワン・フォー・オールという“個性”の秘密を明かされたことによって、デクと対等に近い位置になって余裕が出たというのもあるかもしれません」と振り返った。
また、宿敵との戦いによってオールマイトが力を失った影響もある。社会にとってオールマイトの存在の大きさを実感したことで、デクは「オールマイト以上のヒーローにならなくてはいけない」という考え方に変わってきているのでは? と言う山下。
「デクオリジナルのものがないとナンバーワンにはなれないと、彼なりにいろいろ模索している。そのなかでも一つ、また一つと“ヒーローデク”としての部分が見え始めているなとは感じています」
話を聞きながら、岡本はそんな“デクイズム”が山下の内に秘めた面を引き出してきたのではと指摘。「長年演じるにつれて一心同体になっていっている。だから10年後にはスマッシュ打ってそうです。街中で夜な夜なスマッシュを打つ山下君、40歳(笑)」と説明された山下は、「それはただの危ないおじさん!(笑)」と爆笑していた。
デクにとっての爆豪、爆豪にとってのデク…解釈は?
デクと爆豪に共通しているのは「負けず嫌い」と、そして「必ず上にいける」点と語る岡本。物語の当初からは徐々に変わってきた2人の関係について、次のように続けた。
「爆豪はハードルを自分で上げているというか、デクに二度と負けないと宣言してる手前、この映画でもそのためにはどうしたらいいかを考えています。デクとは(期末試験の実技で)1回一緒に戦ってるからこそ、できることもあったんじゃないかな。ただ、個人的には、爆豪自身の『自分1人で救けてやらぁ!』っていうのは変わっていない本質的な部分だと思います」
山下に改めて、デクにとっての爆豪という存在をどう解釈しているかを尋ねると、「同じ人をよーいドン! で目指したからこそ、絶対に負けられない相手」と語る。
「かっちゃんの方がすごい“個性”を子供の頃から持っていて、すごく先を走っていた。どうにかして追いつきたいと思っていた。映画の物語の時点でも、少しでも追いつきたいし追い越したい存在であることはやっぱり変わらないと思います。デクってみんなへの尊敬が根底にある子。クラスのみんなそれぞれすごいところがたくさんあって、それを吸収して自分も強くならなきゃなって思う子なんです。その中で、かっちゃんもムカつくけどすごい、気に入らないけどすごい、嫌なやつだけどすごい、やっぱりすごい! と思う存在。すごいところは吸収してそれを上回らなきゃと思っているとは思います」
一方、爆豪にとってのデクについて、岡本は「嫌いなやつなんじゃないですかね……」と始める。
「本人も言っていましたが、ずっと下だと思っていたやつがいつの間にか横に並んだと思えば、実はもう前を行っていて、しかも自分のあこがれた人と何か秘密を共有していた。全部自分よりも先を行かれていて、それが屈辱だと思います。僕目線だと、デクの力が正直爆豪のそれを超えていると思っているんです。これからどこまでいくかというビジョンが爆豪は見えてると思うんです。自分にできることを考えると、現状だとちょっと勝てない気がしていて、今以上の何かができるように努力しないといけないと思います」
チームワークに自信「一つの集大成」
気になる今後の展開については、「それはわからない(笑)」と即答する山下だったが、「もしかしたら、将来はそれぞれプロヒーローになって別々に活躍していて、街中でばったりっていうことはあるかもしれない。そこでいやいやだけどもお互いにプロだから協力せざるを得ないときは協力するんじゃないかと思います」と想像をふくらませる。
岡本が「おそらくオールマイトとエンデヴァーのような感じになるんじゃないかなと僕は勝手に思っています。でも結局1位は主人公デク、2位かっちゃんになるのかな……(苦笑)」とつぶやくと、「オールマイトを目標にヒーローを目指した2人なので、きれいごとかもしれませんがみんながナンバーワンという感じになればいいかなと(笑)。東のオールマイト、西のオールマイトみたいな」と妙案をひねり出した山下。それに岡本は「そんなことある!?」と目を丸くしていた。
テレビアニメは4期を重ね、劇場版は2作目となる。経験を重ねてきたからこその安心感があるといい、キャストのチームワークに自信をのぞかせた山下&岡本。アフレコ現場は1年A組にリンクするところがあるそうで、山下は「休憩時間は学園生活みたいにわちゃわちゃして楽しいです。それがアフレコになった瞬間に、プロを目指している彼らの授業中みたいにキリっとする。4期は雰囲気もガラッと変わってはいましたが、積み重ねてきた絆みたいなものが自然と育っているなと感じています」と誇らしそうにしていた。
この劇場版は、山下と岡本が「一つの集大成」とも語る自信作だ。(編集部・小山美咲)