古谷徹&池田秀一、これで最後だと思った…『逆襲のシャア』を振り返る
映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』のファンイベント「GUMDAM FAN GATHERING-『閃光のハサウェイ』Heirs to GUMDAM-」が24日、Zepp DiverCity(TOKYO)にて無観客で開催され、アムロ・レイ役の古谷徹、シャア・アズナブル役の池田秀一、藤津亮太(アニメ評論家)、小形尚弘プロデューサーが出席。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』から『閃光のハサウェイ』への「物語の継承」をテーマに、濃厚なトークが展開された。
1988年に公開された『逆襲のシャア』は、1作目の「機動戦士ガンダム」から14年後の宇宙世紀0093年を舞台に、一年戦争時から続く、アムロとシャアとの因縁を描いた劇場版作品。古谷が「ファーストガンダムから、ゼータガンダム(機動戦士Zガンダム)があって、そこから、アムロとシャアが登場するのは『逆襲のシャア』になった。僕らは『Z』からメインではなくなってしまったわけで、アムロとシャアが、がっぷり戦う作品ができるというのはすごくうれしかったです」と当時を振り返ると、池田も「『逆襲のシャア』というタイトルに、やっと我が世の春が来たかなと思いました」と笑顔を見せた。
『逆襲のシャア』のアムロについて古谷は「この作品まで、どちらかというとアムロは少年として描かれていた。絶対的にシャアの方が格好いいわけですよ。アニメ雑誌の人気投票でも、いつもシャアが1位だった」と切り出すと「『逆襲のシャア』で、ようやく大人になって、格好いいアムロが演じられたなって思って。ファンの方からも『逆襲のシャア』のアムロが一番好きだという声が多いんです」と述懐。すると池田は「アムロも立派になって、やりがいがあってよかったです。まさか(シャアが)あんなにやられるとは思わなかったですけど」と苦笑いを浮かべる。
また池田は、「ガンダム」の魅力の一つに、シリーズの生みの親である富野由悠季によるセリフを挙げる。「日本語として正しいのかというところもあるけど、やってみるといいんです。不思議ですよね。ブライトの『何やってんの』っていうセリフも、近所のおじさんじゃないかって(笑)。唐突なんですけど、流れをみるとそれが生きてくる」と語ると「『アムロ行きまーす!』というセリフも、普通は『自分から行きます』と言わないですよね」と突っ込み。それでも「でも、しゃべるといい。いまとなっては名ゼリフですからね」と富野由悠季ならではの言葉のチョイスに感嘆していた。
同作の公開当時、「ガンダム」シリーズは、これが最後かもしれないという話もあったという。その約1年後に発売された小説「閃光のハサウェイ」は累計発行部数130万部と大きな反響を呼んだ。古谷が「『逆襲のシャア』が終わったあと、富野さんに今後のことを聞いたことがあるのですが、そのとき、アムロは死んだんですよねと聞いても『さあ、わかりません』とごまかされたんです」と当時のエピソードを披露。池田も「僕も打ち上げの席で、これでアムロとシャアには決着がついたという気持ちで、ありがとうございましたと伝えたとき、ニヤッと笑っただけだった。当時は30代で、大人の事情があると思ったのでそれ以上は聞きませんでしたが。でもそれから小説が出て、新たな『ガンダム』が生まれていくわけですけど、監督の作品でまさか令和の時代を迎えるとは、感慨深いですね」としみじみ語っていた。
この日のイベントは、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、公演予定だった、Zepp DiverCity(TOKYO)にて無観客で行われ、YouTubeでその模様を配信。特別映像上映中に、古谷と池田がその場で『逆襲のシャア』の名シーンを演じてみせる一幕もあり、視聴者を楽しませていた。(磯部正和)
映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は7月23日より全国公開