ADVERTISEMENT

山崎賢人が魅せる色気あふれる新たな顔…行定勲の『劇場』映画化への確信

主人公の永田を演じた山崎賢人
主人公の永田を演じた山崎賢人 - (C) 2020「劇場」製作委員会

 映画『劇場』の撮影現場が昨年7月に報道陣に公開された。監督を務めた行定勲が本作にかけた思いや、主演を務めた山崎賢人(崎はたつさき)の役者としての佇まいについて語った。

山崎賢人の憂いを帯びた表情…『劇場』場面カット【画像】

 又吉直樹による同名小説を原作とする『劇場』。自身の劇団で脚本兼演出を務め、劇作家を目指す永田(山崎)と、女優を夢見て服飾の学校に通いながら彼を必死に支えようとする沙希(松岡茉優)の恋模様が描かれる。『世界の中心で、愛をさけぶ』『ナラタージュ』など、数々のラブストーリーを手がけてきた行定監督がメガホンを取った。

ADVERTISEMENT

 「美しいものと醜いものが映っている青春映画にしたい」と行定監督も語るように、恋愛だけでなく表現者としての苦悩や葛藤、夢を追うなかですれ違っていく二人のやりきれなさもリアルに描かれる。行定監督は「原作には私小説的なニュアンスもあって、小説として研ぎ澄まされている。そのぶん物語は地味。6畳一間のアパートで、二人だけの場面が多く大きなドラマがあるわけではない。又吉直樹という名前がないと実現しなかったと思います。この作品が商業映画として日の目をみるのは喜ばしい」と強い意欲を燃やしてきた。

劇場 山崎賢人 松岡茉優
(C) 2020「劇場」製作委員会

 「文芸誌に発表されたとき、すぐに読んで『知っているな、この男女間の感じ』と。自分がやりたいと思いました。クリエイターである自分が一番心を開いている人に当たってしまったり、その人のやることなすことが苛立ちに繋がったり、信じてくれる相手が支えようとしているのもわからない。そういうどうしようもない男と、ある意味でどうしようもない女の話です」

ADVERTISEMENT

 そんな主人公の永田を山崎は無精ヒゲを生やして全身で体現した。行定監督は「今回は澄んでいるその瞳を濁らせるところから始まった。これまでにない顔をしていて色気がありますね。彼は真面目なので、撮影前に10日くらいオフがあってヒゲを伸ばして見せにきてくれた。あまり伸びないタイプらしく『どうすれば濃くなりますか?』というので、T字カミソリで剃れば濃くなるよ、とアドバイスしたり(笑)。そういうところから永田という男を表現していきました」という。

劇場 山崎賢人 松岡茉優
(C) 2020「劇場」製作委員会

 そんな新たな表情を見せる山崎について「彼は素直で考え方がいい。役を与えられて、一つ一つどう演じるかということに向き合っている。自分の立ち位置や見えかたについて語るわけではない。以前、菅田将暉に同時代の俳優で気になるのは? と聞いたら彼の名前が挙がったんです。一本一本の映画に対して向き合いかたがすごい。この役にも真正面から向き合っていますね」と称賛を惜しまない。

ADVERTISEMENT

 この日、撮影が行われたのは、永田が元劇団員の青山(伊藤沙莉)に連れられて足を運んだレストランでの一場面。劇作家としての夢を追いつつも、青山に紹介されたライターとしての仕事をこなしていた永田は、業界の人々が集まった空間で異質な存在となってしまう。理想と現実の間で不安に苛まれる永田の葛藤が現れる重要なシーンだ。ここに参加したエキストラは、実際のライターや記者などでリアルな雰囲気が追求された。

 「永田には望まないところで仕事をしなくてはならない屈辱があって、この場面では彼だけが浮いた存在になってしまう。演劇関係者や批評家、ライターの集まりなので、そういう人たちに好き勝手に毒っ気のある喋りをしてもらえばいいな、と」

 ほかにも、題名にふさわしく本物さながらの劇場を再現したセットで撮影が行われた。「演劇に携わる人たちが舞台に立って何を感じたか、というのが大事なので、リアリティーがなければ冒涜にあたると思ったんです。小劇場の人たちにたくさん会って、実際に出演してもらった。もちろん作品もたくさん観ました」

劇場 山崎賢人
(C) 2020「劇場」製作委員会

 これほどのこだわりには、やはり原作への思いが大きい。「今はわかりやすいものが求められる傾向があるので、自分はそれに逆らって曖昧な方向に行きたい。又吉さんは純文学を今の世に残したいと強く思っている。二人が出会って連れ添う、その結果が描かれるだけですが、私としても今回ほど書かれていることを読み込んで、原作に書かれたことを再現しようと思ったことはありません。だから地名が書かれていたら、何が何でも同じ場所で撮ると決めました」

 その思いを叶えた山崎と、その相手役のヒロインを演じた松岡。「二人は真逆のタイプなんですが、自分たちの感性を作品に持ち込んで形にしようとする覚悟ができている役者です。だからこそ、彼らにしかない感性で映画化しようと思えたんです」(編集部・大内啓輔)

映画『劇場』は4月17日より全国公開

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ADVERTISEMENT