74歳の現役アクションスター!シルヴェスター・スタローン不屈の人生
7月6日、ハリウッドを代表する大スター、シルヴェスター・スタローンが74歳の誕生日を迎えた。次々に新世代のスターが生まれ、スーパーヒーローたちが大活躍する現在のハリウッド映画界において、スタローンは、70代後半に差し掛かる現在も主演作を発表し、アクションスターとして気を吐いている。
1946年、スタローンは出産時の医療ミスにより、顔面左側の麻痺と言語障害を持って生まれた。さらに、治安の悪さで知られたニューヨークのヘルズ・キッチンに育ち、素行不良でいくつもの学校を放校されるなど、荒れた青春を過ごしたスタローンだったが、体育奨学金を受けた留学先で演劇と出会い、本格的に俳優を志す。
そのキャリアは順風満帆とは言い難い。成功を夢見ながらいくつもオーディションに落ち、初主演はポルノ映画だった。しかし、1975年にボクシングの世界ヘビー級タイトルマッチ「モハメド・アリ対チャック・ウェプナー」戦に感銘を受けたスタローンは、映画『ロッキー』の脚本を執筆。多額の脚本料を蹴ってまで、自らの主演にこだわった本作は、見事アカデミー賞作品賞に輝き、アメリカンドリームを体現してみせた。
成功もつかの間、なかなか『ロッキー』シリーズ以外のヒットに恵まれなかったスタローンだったが、そんな時に出会ったのが『ランボー』(1982)。孤独なベトナム帰還兵の苦悩を体現したランボーは、スタローンにとって第2の当たり役となる。ジェームズ・キャメロンが脚本を手がけた『ランボー/怒りの脱出』(1985)は、前作から一転して、アクション重視の大作として大ヒットを記録し、彼のアクションスターとしての地位を決定づけた。
コメディー路線の失敗など、その後もキャリアが沈む時期はあったが、『クリフハンガー』(1993)などの成功により、復活を遂げてきたスタローン。ハンディを背負いながらも常に立ち上がってきたその人生は、まるでロッキーだ。
失敗しながらも立ち上がってこられた理由は、映画人としての才能はもちろん、命がけの努力の成果も大きい。『ランボー3/怒りのアフガン』(1988)を手がけたピーター・マクドナルド監督は、当時、過酷なスケジュールのなかでも、スタローンが連日4時間のワークアウトを欠かず、誰よりも遅くまでジムに残っていたと、同作のコメンタリーで振り返っている。74歳に見えない肉体は、たゆまぬ努力で維持されている。
主演・監督・脚本を務めた『エクスペンダブルズ』(2010)では、ドルフ・ラングレン、ミッキー・ローク、ジェット・リー、ブルース・ウィリス、さらにアーノルド・シュワルツェネッガーなど、往年のアクションスターが豪華共演。スタローンは、番長のごとく個性派スターをまとめあげ、世界中のアクション映画ファンを歓喜させた。『エクスペンダブルズ』は2本の続編が作られ、再びシュワルツェネッガーと共演した『大脱出』(2013)など、さらにアクション映画を連発。『ロッキー』シリーズ新章『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)では、ゴールデン・グローブ賞助演男優賞を初受賞。常連だった最低映画賞ラジー賞では名誉挽回賞に選ばれ、演技面でも再び高評価を得た。
そして現在、『ランボー』シリーズ第5弾『ランボー ラスト・ブラッド』が日本公開中だ。前作『ランボー 最後の戦場』(2008)から12年ぶりの続編となる本作でランボーは、自分をジジイとなめきっている人身売買組織を血祭りにあげていく。シリーズ1作目のような、泥だらけのゲリラ戦で敵を仕止めていくスタローンの姿は、やはり70代には見えない。今後も、スーパーヒーロー映画『Samaritan(原題) / サマリタン』や、マイケル・ベイが製作総指揮を務めるSFアクション『Little America(原題) / リトル・アメリカ』などが待機中で、70代後半になってもスクリーンで暴れる姿を楽しむことができそうだ。(編集部・入倉功一)