笑いの安打製造機!福田雄一監督、抱腹絶倒の映画5選
うっとうしい梅雨の季節を吹き飛ばし、映画『今日から俺は!!劇場版』が大ヒット中! メガホンを取った福田雄一監督の“笑い”に対する貪欲さに改めて感心させられた。執拗に繰り出されるギャグの嵐、役者の暴走アドリブ合戦、さらにはキャラ大渋滞のオバカな人間描写は、観ているだけで心がほぐれ、「ま、明日もそこそこ頑張ってみっか!」という軽やかな気持ちにさせてくれる。8月2日スタートの新ドラマ「親バカ青春白書」(日本テレビ系)も楽しみだが、そんな“笑いの安打製造機”福田監督の過去作のなかから、特に人間味あふれる5作品をピックアップ。今宵は爆笑必至の福田ワールドで、心に元気を注入しよう!(坂田正樹)
山崎賢人&橋本環奈、めちゃ可愛いダンス!『斉木楠雄のΨ難』未公開映像
『明烏 あけがらす』(2015)
場末のホストクラブを舞台に描かれるシチュエーションコメディー。古典落語をベースに、借金返済に追われるどん底ホスト・ナオキ(菅田将暉)と、頼りにならない同僚たちのてん末を描く。アフロヘアーを揺らしながら慌てふためく菅田のバカっぷり、それを取り巻くオトボケキャラたちとのコントラストが実に絶妙。特に無銭飲食した女性客・明子を演じた吉岡里帆の怪演には度肝を抜かれる。反省しているかと思いきや、嘘泣き&屁理屈で応戦し、挙げ句の果てには菅田を追い込み、肩まで揉ませるツワモノぶり。ここのくだりを観るだけでも大いに価値がある。もちろん佐藤二朗とムロツヨシのジロムロ・コンビのおふざけも全開。落語がベースだけに、見事なオチで終わるところも秀逸だ。
『大洗にも星はふるなり』(2009)
福田が座長を務める劇団「ブラボーカンパニー」の舞台作品を映画化し、映画監督デビューを果たした記念すべき作品。茨城県・大洗の海の家で働いたバイト仲間たちが、憧れのマドンナ・江里子(戸田恵梨香)をめぐって激論を交わすさまを描く。海の家のマスター(佐藤二朗)を筆頭に、それぞれが江里子との夏の思い出を語り、誰が一番愛されていたかを競い合うのだが、そこにひょんなことから狂気の弁護士の関口(安田顕)が加わり、おかしな方向に。「その思い出は真実か、それとも妄想か」……まるで探偵ポワロのように追求する抱腹絶倒の茶番劇が面白さに拍車をかける。最初、ジョニー・デップ風に登場した山田孝之が、最後はなぜかドリフの爆発コントのような姿に変貌しているところも注目ポイント!
『HK/変態仮面』(2013)
あんど慶周の伝説的コミックを実写映画化。頭にパンティーをかぶることで超人的パワーを発揮する主人公・色丞狂介(鈴木亮平)の活躍をギャグ満載で活写する。通常、あのコスチューム(?)で登場したら、思わずプッと笑ってしまうものだが、鈴木の鍛え抜かれた肉体とポージングの美しさによって、逆にセクシーにすら思えてくる。それを裏付けする反面教師が、宿敵として大暴れする謎の教師を演じた安田顕だ。さほど鍛えていないオジサン体型であの大胆なコスチュームをまとい、ガニ股走りで女性のスカートをめくりまくる姿は、映画といえども逮捕状が出てもおかしくない!? まさに名演VS怪演の戦いだ!
『50回目のファーストキス』(2018)
アダム・サンドラーとドリュー・バリモアが共演した同名のラブコメディーを福田流にリメイク。新たな記憶を一夜で失ってしまう美女(長澤まさみ)に恋した青年(山田孝之)が、毎日彼女にアプローチを続ける姿を描く。毒親や詐欺師など役の幅をますます広げる長澤だが、本作ほど魅力的でチャーミングな演技は見たことがない。愛おしくて切なくて、それでいてちょっぴり天然。彼女を受け止める山田もほぼ真摯に演じているだけに、佐藤二朗や太賀(現・仲野太賀)による目に余るおふざけがプックリ浮いてしまうほど。これがなかったら完璧な感動ラブストーリー、でも、この笑いがあるからこそ福田ワールド。この板挟み状態も、言ってみれば本作の楽しみ方の一つかもしれない。
『斉木楠雄のΨ難』(2017)
麻生周一の人気ギャグ漫画を実写映画化した学園コメディー。「今日から俺は!!」のサイキック版ともいえる本作は、心の声と言動のギャップが見どころの一つだ。主人公・斉木楠雄(山崎賢人)と、斉木に思いを寄せる妄想美女の照橋心美(橋本環奈)のズレまくる恋の駆け引きは、もはや名人芸の域。特に『銀魂』の神楽役で変顔&鼻ほじを披露した橋本のはじけっぷりは、本作でさらに進化! 斉木にあの手この手のブリっ子爆弾を仕掛けるさまは、もはやライバル女優の追随を許さない。さらには「今日から俺は!!」の三橋を彷彿とさせる賀来賢人の元ヤンキーぶりや、吉沢亮の中二病ぶりも必見。イケメン俳優もここまでやり切ると逆に清々しいもんだ。