亀梨和也、昔は若さゆえの「怖いもの知らず」をフル活用
「事故物件住みます芸人」こと松原タニシによるノンフィクションを、映画『スマホを落としただけなのに』の中田秀夫監督が映画化した『事故物件 恐い間取り』(公開中)。この映画でホラーに初挑戦した亀梨和也が新たな領域へ挑み続ける心境と、デビュー時から現在に至るまでの、仕事へ向かう姿勢の変化について語った。
この映画で亀梨はホラーというジャンルだけでなく、関西弁と売れない芸人という一筋縄ではいかないお題をつきつけられてさぞ不安だったのかと思いきや、「どんなときも、毎日が不安ですよ。だってなにが起こるかわからないし、僕らの仕事には準備できるものとできないものがあるから」と不安が常態化していると明かす。
コンサートの歌や踊り、身体のケアもある程度は準備ができるものの「例えばこうした取材を立て続けに受けるとき、その一つ一つの写真撮影でどんなオーダーがあるかは事前にわかりません。『もう少し肌を見せてください』と言われると、3日前くらいから準備したのに……と思ったり(笑)。オーダーに応えて当たり前と思われる職業でもあるので、『笑ってください』と言われてうまく笑えないと、感じ悪いと受け止める人もいるかもしれない」と撮影現場での瞬発力の大切さを語る。
プロ野球中継の解説も事前にある程度の準備はできるが、「選手それぞれについての知識やこれまでの流れをおさえようとはしますが、あとはもうその場の感覚でしゃべっていくしかない。最後は暗示をかけます。よし行け、亀梨! って」と気合いで乗り切るそう。
ところがデビュー前後の彼は、「いま自分が振り返ってもゾッとするくらい、不安さえ感じないスピードで生きていました」と振り返る。コンサートでも「直前まで疲れ切って寝ていても、本番10分前! と言われると(ばちっと目を開いて)おす! と言って駆け出していた。若さゆえの怖いもの知らずをフル活用してました」と笑う。ところが年齢を重ねたいまは「1時間半前から準備をして挑まないと不安になったりして、同じ作業であっても、年々不安が生れてくるんですよね」と心境の変化を感じている。
勢いだけではなく、ストレスや不安を感じ、プレッシャーと闘いながらその先へ行こうとする。34歳になった亀梨がこれからなにを感じてどう表現していくのか? きっちりと観ていきたいと思わせる人だ。(取材・文/浅見祥子)