多部未華子が決意の表情…青山真治『空に住む』予告編!
女優の多部未華子が主演を務める映画『空に住む』(10月23日公開)の予告編映像が公開された。
『EUREKA ユリイカ』などで知られる青山真治監督の7年ぶりの長編映画作品となる本作。郊外の小さな出版社で働く28歳の直実(多部)は、両親の急死を受け止めきれないまま大都会を見下ろすタワーマンションで黒猫のハルと暮らすことになる。そんな彼女の前にスター俳優・時戸森則(岩田剛典)が現れたことで生活が変わり始めるが、心には埋めようのない喪失感を抱えていた。
公開された予告編映像では、直実と同じくどこか満たされないまま日々を過ごす直実の後輩で妊婦の愛子(岸井ゆきの)や、何不自由なく暮らしている専業主婦の叔母・明日子(美村里江)などの姿も映し出されていく。また、日本を代表する人気スターにふんした岩田のオーラたっぷりな演技も見ることができる。映像の最後には何かを決意したような顔で空を眺めながら伸びをする直実の姿が捉えられ、余韻を残す仕上がりとなっている。三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE が担当する主題歌「空に住む~Living in your sky~」も収められている。
あわせて公開されたポスターには、両親を亡くして心の整理がつかないままタワーマンションに連れてこられた直実が、空を見上げて切ない表情を浮かべており、空に浮いたようにぼんやりと漂う不安定な心を表現したものとなっている。
主演の多部は「青山真治監督の描く作品の空気は、参加した私にも言葉にできないとても独特な世界観でした。撮影をしていた約1か月はとにかく、その世界観にどっぷりと浸かりたいという思いで必死だったような気がします」と振り返っている。ほか出演キャストたちも作品についてコメントを寄せている。(編集部・大内啓輔)
キャストコメント
多部未華子(主演・小早川直実役):青山真治監督の描く作品の空気は、参加した私にも言葉にできないとても独特な世界観でした。撮影をしていた約1か月はとにかく、その世界観にどっぷりと浸かりたいという思いで必死だったような気がします。様々な受け取り方ができる作品なのかなと思いますが、誰かの心の片隅に残る作品になることを願っています。
岸井ゆきの(木下愛子役):今回、青山組に参加でき光栄です。この映画は約2年前に撮影しました。現場に流れていた穏やかで丁寧で、キリッとした空気がスクリーンからも見て取れて、今改めてあのときの空気で、落ち着いて深呼吸したような感覚です。2年前と今では大きな変化がありましたが大事なことは変わらずに生活の中にあると思います。ぜひ観てください。
美村里江(小早川明日子役):活字で読んだときと、映像として人の体温と陰影が重なったあとではずいぶん印象の変わる作品です。雲のように漂っているのは主人公の直実だけではなく、どの人物も色・大きさ・水分量の違う、そして流れている層も異なる一群れの雲に私には見えました。重なっているようで遠かったり、離れて見えて近いこともあるのかもしれません。
岩田剛典(時戸森則役):青山さんは現場でしか出せない空気感を大切にされている監督で、多くを語らずとも、ひとつひとつの絵作りや映画としてのクオリティーを高めていく情熱がひしひしと伝わってきました。すごく丁寧な撮影で、役者としてはすごくモチベーションを高めてもらえる良い現場でした。
鶴見辰吾(小早川雅博役):『レイクサイドマーダーケース』『エリエリ・レマ・サバクタニ』以来、久々の青山真治監督作品に参加。嬉しいなぁ。俺を覚えていてくれたか。青山さんとは同じ年で、彼の作り出す現場の雰囲気が大好きなんだ。美村里江さんと多部未華子さんと猫ちゃんと一緒に幸せで、ご褒美みたいな撮影だった。これから観るのか楽しみだ。
高橋洋(直実が勤める出版社・上司役):エンドロール、多部未華子さん演じる主人公・直美(28)がスクリーンから消えたあとの余韻の中、観ている僕の頭にはふいに監督・青山真治(56)が浮かび、そのときハタと思いました。直美は……監督自身なのかもしれない……と。だから、なんだ? と言われたらアレなんですけど。だから映画っていいなぁ、と自分は思ったのです。沁みます。
岩下尚史(直実が勤める出版社・社長役):青山監督のお声がゝりで、初めて映画の出演者として招かれる冥加にめぐりあいました。もとより、しろうとのことですから、監督はむずかしいことは注文なさらず、普段のとおりにと仰言るだけで、ちょっと戸惑いをしたことでしたが、商売の下手なところだけは私と同じですから、そこをお買いくださいましたら幸いに存じます。
大森南朋(作家・吉田役):ついに参加させて頂けた青山真治監督の映画でした。もう少し現場にいたかったです。
永瀬正敏(謎の男役):10代の頃、僕たちは伸ばした手で繰り返し空を掴むように、何かに向かいただガムシャラに走った。時が経ち彼は作詞家になり、そして小説家になった。青山真治監督によって新たな命が吹き込まれたその現場に、まさか自分が立てるとは。短い間だったけど今までにない特別な現場になった。親友小竹正人に、二人の歴史に感謝したい。
柄本明(直実の住むタワーマンションのコンシェルジュ役):公開、おめでとうございます。飲み屋では何度も会っていますが、仕事といえば、『レイクサイドマーダーケース』以来ですから15年ぶりでした。みなさん、何も考えないで、この映画をそのまま、お楽しみください。