のん、主演映画『私をくいとめて』東京国際映画祭出品に感激 「映画は、観た人の人生に関わるもの」
芥川賞作家・綿矢りさの小説を、のん主演で映画化する『私をくいとめて』(12月18日公開)が、第33回東京国際映画祭「TOKYOプレミア2020」に出品されることが29日に決定し、のん、大九明子監督が喜びのコメントを寄せた。
10月31日から11月9日にかけて開催される同映画祭。「TOKYOプレミア2020」は、従来の「日本映画スプラッシュ」「アジアの未来」「コンペティション部門」が統合された今年限定の部門。32作品(欧米10、アジア12本、日本10本)の上映を予定しており、同部門の全作品を対象とした「観客賞」が設けられている。観客賞は11月9日に行われるクロージングセレモニーで発表される。
本作は、大九明子監督が2017年公開のヒット作『勝手にふるえてろ』に続いて綿矢作品を映画化。のん演じる、脳内の相談役「A」からアドバイスを得ながら生活する30代独身女性・黒田みつ子の不器用な恋を描く。
主演ののんは、同映画祭への招待に「東京国際映画祭への出品、とても嬉しく思います。そして、今年も映画祭が開催されるんだという喜びを大きく感じています。映画は、観た人の人生に関わるもの。その映画を観た事は目や耳から頭の中に入ってその人の思い出として刻まれる。この作品でみつ子を演じたのは、私の中でとても大切なものとなりました。みつ子さんや多田君やAが、ちょっとでも観てくださる方の人生に関われたら嬉しいなと、今から楽しみにしています」とコメント。
大九監督は、のんとのタッグを「のんさんはいっぱい質問してくれました。その対話の中で、この映画の核を再確認できたように思います」と述懐。映画祭への招待について、コロナ禍における撮影中断を振り返りながら以下のように喜びを語っている。
「特別な一年の特別な映画祭に選んでいただき、大変光栄です。『私をくいとめて』は、撮影中断を経てようやく生み出されました。私は、人に怯え、人との距離感を計りながら生きる人間を好んで描いて来たけれど、ウィルスに距離を取らされるのは不本意です。ステイだのゴーだの指図を受けるのも。映画作りや、劇場で映画を観る体験が、命を脅かすことになるなんて辛い。私の人生にはそれらが欠かせないのです。部屋から一歩踏み出して、東京国際映画祭に参加することが、心底楽しみです!」
東京国際映画祭シニア・プログラマーの矢田部吉彦氏は本作を「実は彼女の悩みや逡巡は我々みんなのものだ。孤独からいかに抜け出すか。『私をくいとめて』が描く、一歩を踏み出す勇気こそ、今年の映画祭のテーマなのだと思わずにいられない。」と評している。(編集部・石井百合子)