「七人の秘書」名もなき秘書の痛快劇 「ドクターX」脚本・中園ミホの込めた思い
「ドクターX」「ハケンの品格」の脚本家・中園ミホが手掛ける連続ドラマ「七人の秘書」が、今夜からテレビ朝日系でスタートする(毎週木曜夜9:00~・初回20分拡大)。あらゆる分野で職務をこなす、名もなき秘書たちによる世直しを描いた痛快劇に込めた思いを、中園が語っている。
本作は、金融、警察、病院、都政など、各分野のトップで働く秘書たちが、わずかな報酬で人助けをする“影の軍団”として、理不尽だらけの日本社会を裏で操りながら社会の弱者を救済していく痛快ドラマ。木村文乃、広瀬アリス、菜々緒、シム・ウンギョン、大島優子が5人の秘書たちを、室井滋が元秘書の家政婦を、江口洋介がその元締めを演じる。
中園が7~8年前から構想していたという本作。「よく出席する飲み会のメンバーにも政府の裏方の人たちがいるんですけど、そういった表に名前の出ない人たちが実は世の中を動かしているんじゃないのかな……と思っていた」といい、共に「ドクターX」を生んだ内山聖子エグゼクティブプロデューサーにアイデアを話したことで、即決となった。
コロナ禍において、連日、世界各国のリーダーを目にしたことも制作意欲を後押しした。「改めて国のリーダーに私たちは命を預けているんだな、と感じたんです。良いリーダーとそうでないリーダーで、身の危険や健康が脅かされることに差が出るんだということをヒシヒシと感じて、今このドラマをやりたい! と」。そこで生まれたのが「リーダーによって、一番あおりを食うのは国民」という思い。「そういう人たちを、人事権も何ももたない女の子たちがこっそり退任させたりしたらステキだな、とファンタジックに考えていました」。
ちなみに、本作を象徴する決めゼリフ「名乗るほどの者ではございません」は、中園の思いつきを、内山が気に入ったことで決定した。中園自身は、シム・ウンギョン演じるサランの「懲らしめてやりましょう」というセリフがお気に入り。「弱い人を踏みつけるような人たちを、みんなはどうしてやりたいんだろう、と考えた時に、きっと懲らしめてやりたいはずだ、と。これは絶対に言わせたい! と思っていました」という。
これまで、自立した力強いヒロインを生み出してきた中園の目標は、頑張り続ける人々の疲れを吹き飛ばす作品を届けること。長らくフリーランスとして活動してきた中園は「不安定な派遣の方もそうですけど、皆さん今の労働体系で本当によく暴動を起こさず働いているなぁと思うんです。私は、そういう名もなき人たちがけなげに頑張っているからこの国が回っていると思っていて……。私はラブストーリーでもお仕事ものでも、そういう頑張っている人たちに、スッキリした気持ちになって『明日も頑張ろう!』と思ってもらえるような、元気になっていただけるドラマを書いていきたいと思っています」と語っている。
第1話では、巨大銀行頭取の急逝によりトップ争いが加熱するなか、銀行常務の命令で不正に手を染めた責任をかぶって命を絶とうとする男を救い、銀行の暗部を暴こうとする秘書たちの活躍が描かれる。(編集部・入倉功一)