中川大志「宝物のような作品」2年越し公開に感無量 石井杏奈は「大変さも青春」
中川大志と石井杏奈が1日、丸の内ピカデリーで行われた映画『砕け散るところを見せてあげる』の完成報告舞台あいさつに来場し、それぞれに「宝物のような作品」「(撮影の)大変さも青春だったなと思います」と撮影から2年越しの公開に喜びを明かした。この日は井之脇海、松井愛莉、北村匠海、矢田亜希子、原田知世、堤真一、SABU監督も出席した。
本作は、アニメ化された「とらドラ!」「ゴールデンタイム」などの竹宮ゆゆこの長編小説をもとに、正義感の強い高校3年生の濱田清澄(中川)が、みんなから嫌われている1年生の蔵本玻璃(石井)をいじめから救おうと奮闘する姿を描く物語。
この日、公開延期を経て4月9日に封切りを迎える本作について、中川は「映画は2年前くらいに完成していたのですが、ようやく公開できてうれしく思います」と晴れやかな表情であいさつ。ともに主演を担った石井も「去年の公開予定から1年が経って、今日は朝から心臓がバクバクしています。よろしくお願いします」と緊張の面持ちを見せた。
そんな石井が演じたのは、“学年一嫌われ者”と呼ばれて心を閉ざした玻璃。共演した中川は「玻璃という女の子は本当につらいし、演じるのは大変だろうなと。杏奈ちゃんとは中学生くらいからご一緒していて、どんな玻璃を作りあげるんだろうと楽しみでした。ただ、初日に玻璃の姿を見てズンとくるものがあって。彼女のために強くならないといけないなと思わされました。杏奈ちゃんの覚悟を感じました」と振り返る。石井も「改めて映画を観ると大変だったんだなと思うけど、やっている当時は(撮影が)楽しくて。玻璃が救われたように、私も大志くんに救われたので、その大変さも青春だったなと思います」と語った。
二人の芝居には、SABU監督や共演者も深い感銘を受けたという。原田は「撮影現場に入ったときに、監督が『杏奈さんと大志くんが本当にステキなんです』と言っていたのが印象的で、現場の雰囲気からも『これはいい映画になるな』と思いました」、そして小学生時代から中川を知る北村も「同世代として主演の二人を誇りに思いました。痛々しくも、きれいで美しい愛情を見て、僕も涙が出てきました。参加して少しでも二人を支えられたのをうれしく思います」と誇らしげに口にした。
そうした声に、石井は「皆さんのお言葉が本当にうれしくて、今日、役者を仕事にしてきて、生きてきて良かったなと幸せです。この作品が終わった後に抜け殻のようになってしまって、全力を尽くした作品になりました」、中川も「この作品は20歳になったばかりのときに撮ったのですが、きっと年を重ねたら忘れてしまう10代の気持ちや、大人と子どもの狭間のあの時にしかできなかったことを監督に切り取ってもらった大切な作品です。宝物のような作品になりました」と思いを明かした。(取材・文:壬生智裕)
映画『砕け散るところを見せてあげる』は4月9日より全国公開