ディズニー新作『ラーヤと龍の王国』はほぼ全編リモートで制作!キャストは自宅クローゼットで収録
ディズニー・アニメーション最新作『ラーヤと龍の王国』で監督を務めたドン・ホール(『ベイマックス』)&カルロス・ロペス・エストラーダ(『ブラインドスポッティング』)がZoomインタビューに応じ、ほぼリモートだったというコロナ禍での制作を振り返った。
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新型コロナウイルスの流行によりテレワークが奨励されるなど人々の働き方は大きく変わったが、それはディズニー・アニメーションでも例外ではなかった。エストラーダは「(パンデミックが発生した時)僕たちは確か、1.5シークエンスくらいしか制作していなかった。せいぜい10か15ショットというところだね。つまり、残りの95%の作業は、このインタビューみたいな形で行われたんだ。450以上のそれぞれの家からZoomセッションをして、iPadでチェックして、ミュートになっているのに気付かず話そうとして恥ずかしい思いをしたり、ドン(・ホール監督)は通信速度が遅いと言ってインターネットプロバイダーに怒りを募らせたり(笑)」と今までにない形となった制作を明かす。
困難はありつつも得られたものは多かったようで、「だけど僕たちが誇りに思っているのは、このユニークな制作方法が僕たちを本当に一つにしたということ」とエストラーダは力を込める。「打ち上げでは全てのクルーが、この映画作りをどれだけ楽しんだかということを言っていた。どれだけ自分が制作プロセスに含まれていると感じられたかと……。皮肉ではあるんだけどね(笑)。僕たちはこの1年というもの、実際に会うことはなかったわけだから。こんな状況だからこそ、いつも以上に一生懸命取り組んだことで、一人一人が参加していると強く感じられ、最終的にずっと親しくなれたんだ」
リモートで働いたのはディズニー・アニメーションのスタッフたちだけではない。ケリー・マリー・トラン(『スター・ウォーズ』シリーズ)、オークワフィナ(『フェアウェル』)、ダニエル・デイ・キム(「HAWAII FIVE-0」)といったボイスキャスト陣も同様だ。
エストラーダは「そう、キャストもみんなだ(笑)。僕たちはコンピューター、マイク、スタンドを彼らの自宅に送って、彼らはクローゼットで収録した。彼ら自身がエンジニアになり、何もかも自分たちでセットアップして収録し、僕たちにファイルを送ってくれた。一仕事だったよ(笑)」と打ち明ける。「誰も僕たちに不満を漏らすことはなかったけど、彼らにとってはいつも通りのやり方の方が良かったんだろうなとは思うよ」と笑っていた。
キャスト自身がエンジニアを兼ねるとあって、失敗もあったそう。ホールは「ダニエル・デイ・キム(主人公ラーヤの父役)はあるセッションで本当に素晴らしかったんだ。だけど、そのどれもが録音されていなかった(笑)。1時間半のセッションが丸々やり直しさ。素晴らしい演技だったから心が痛かったけれど、良かった点は、彼はやり直しでも同じくらい素晴らしい演技をしてくれたということだね」と笑顔を見せた。
人々が信じ合う心を失ってバラバラになってしまった王国を舞台に、主人公ラーヤの冒険を通して「人を信じること」の大切さを描いた本作は、今まさに世界が必要としている物語といえる。ホールは「この旅を始めたのは1年半前で、その当時の世界も決していい状態ではなかったけれど、パンデミックや社会不安によって今はもっと悪い状態になった。本作がいかに現在の問題とリンクした作品になっているかについては、僕たちもよく理解している。必ずしも意図したことではないのだけれど、今この時に相応しい映画になっていると思う。願わくば、何らかの癒やしとなってくれたらいいな」と願いを込める。
エストラーダも「とてもポジティブで楽観的な作品に貢献することができてうれしく思う。本作はひび割れてしまった世界を、とても希望に満ちたレンズを通して描いている。今公開できることをとても誇りに思うし、このことについて人々がもっと議論するきっかけになる映画を作れて興奮しているよ」と語っていた。(編集部・市川遥)
映画『ラーヤと龍の王国』は映画館 and ディズニープラスプレミアアクセスにて公開中 ※プレミアアクセスは追加支払いが必要