16日間連日完売のヒット!『海辺の彼女たち』国際映画祭出品続く快進撃
都内・ポレポレ東中野で緊急事態宣言下の初日(5月1日)から連日16日間、チケット完売が続く好調な滑り出しを見せている映画『海辺の彼女たち』が、6月11日より開催される第24回上海国際映画祭パノラマ部門に出品されることが1日、明らかになった。
本作は、日本に出稼ぎにやってきた3人のベトナム人女性たちの過酷な日常を追うドラマ。彼女たちは日本で技能実習生として3か月間働いていたが、ある夜、過酷な職場から脱走。ブローカーを頼りに雪深い港町にたどり着き、不法就労の状況に怯えながらも故郷の家族を支えるため、幸せな未来のために懸命に働き始める。
監督は、『僕の帰る場所』で在日ミャンマー人の移民問題と家族の愛を描き、東京国際映画祭「アジアの未来部門」グランプリを受賞した藤元明緒。本作は藤元監督が実際に技能実習生から受け取ったSOSメールをきっかけに着想を得て、来日後に失踪した当事者、彼らを支援するシェルターなどに取材を行い、自ら脚本を執筆。青春を奪われ、労働力でしかない若き女性たちの受難は、ドキュメンタリーと見まがうほどのリアリティーだ。
コロナ禍で健闘する本作は、ポレポレ東中野では平日も完売となる回が出るなど快進撃が続き、6月18日までのロングラン上映が決定。現時点で決定している上映館は全国37館となっている。
上海国際映画祭では、パノラマ部門内の著名な国際映画祭での受賞作や話題作が集う「VIVA LA FESTIVAL」枠に出品されるほか、第68回サンセバスチャン国際映画祭新人監督部門、第33回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門、第42回カイロ国際映画祭インターナショナル・パノラマ部門に出品。
そのほか、第3回平昌国際平和映画祭では9作品でグランプリ、審査員賞、観客賞を競うインターナショナルコンペティション部門、第38回イラン・ファジル国際映画祭ではアジアとイスラム圏の映画12作品が選出されるコンペティション「イースタンビスタ」部門、第21回ドイツ・ニッポンコネクションでは、才能ある若手の監督や実験的アプローチを行う作品が集う「ニッポン・ヴィジョンズ」部門に出品される。
藤元監督は、映画祭出品に以下のようにコメントしている。「今年も困難な状況の中、映画の灯火を消すまいと映画祭を運営する方々には頭が下がる思いです。そして、この映画を世界に羽ばたかせてくれたのは、これまで観ていただいた日本の観客の皆さま、スタッフ、キャスト、ロケ地の皆様、スポンサー、映画に関わる全ての人々のおかげです。感謝してもしきれません。日本でも、海外でも、まだまだ映画が広がっていくことを切に願っています。これからも作品を作れるように、頑張ります」(編集部・石井百合子)