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「青天を衝け」慶喜、大政奉還の撮影裏 「草なぎ剛さんはすごい」演出家、感嘆

第23回「篤太夫と最後の将軍」より徳川慶喜(草なぎ剛)
第23回「篤太夫と最後の将軍」より徳川慶喜(草なぎ剛) - (C)NHK

 現在放送中の大河ドラマ「青天を衝け」(NHK総合ほかにて放送)で、第22回「篤太夫、パリへ」から始まった“パリ編”の演出を務めた田中健二が、18日放送の第23回「篤太夫と最後の将軍」で大政奉還を行う徳川慶喜役の草なぎ剛について語った。

【写真】栄一、和装から洋装へ「青天を衝け」23回場面写真

 日本資本主義の父と呼ばれた実業家・渋沢栄一(吉沢亮)の人生を描いた本作。武蔵国・血洗島(現在の埼玉県深谷市)の農家の息子として生まれた栄一と、徳川斉昭の七男として生まれ、名門一橋家を継ぎ、ついには江戸幕府の将軍になる慶喜。まったく接点のない二人が、混沌とした幕末期に出会い、互いの力を頼っていくさまは、前半戦の物語の大きな見どころと言ってもいいだろう。

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 第22回(11日放送)の「篤太夫、パリへ」では、吉沢亮演じる栄一(篤太夫)が、蒸気機関やエレベーターなど西欧諸国の最先端の技術や合理的な仕組みに度肝を抜かれながらも未来を見据える姿が映し出された。一方でついに江戸幕府第15代将軍となった徳川慶喜(草なぎ剛)は、リーダーシップを発揮するものの、徐々に抗えない時代の逆風に見舞われ、暗い未来を予感させるシーンも見られた。視点によって評価が変わるのが歴史の面白さだが、幕末期において、徳川慶喜ほど評価の振れ幅が大きな人物はいなのではないだろうか。

 慶喜と言えば、徳川幕府最後の将軍。約260年続いた江戸幕府を閉じた人物でもある。幼少期から優れた才能は水戸藩でも高く評価される一方、先を読む力に富んでいることから徳川幕府について、やや悲観的なものの見方をするところもあり、その行動の本質を理解することは難しい。

 田中も「歴史上、慶喜は見方によっては評価が分かれる人物です」と語ると、慶喜自身が政権を帝に返上する“大政奉還”への経緯についても「第23回で大政奉還が行われますが、『青天を衝け』では、どういう筋道をつけて慶喜が大政奉還に至ったのかを、しっかり慶喜の気持ちに寄り添って描いているつもりです。そこには徳川家康(北大路欣也)とドラマ上でもリンクさせようという隠し技がありますので、楽しみにしていただきたいです」と期待をあおる。

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 続けて田中は「大政奉還を宣言するシーンでは、歴史上の事実として家康公に関して言及している場面がありますが、そのときの草なぎさんの演技が本当に良いお芝居でした」と撮影を述懐。「草なぎさんにそのことを伝えると『演じているうちに家康さんがおりてきて感情移入してしまいました』とおっしゃっていて……。やっぱり草なぎさんはすごいなと思いました」と感嘆していた。

 多面的でつかみどころがない慶喜だからこそ、作品によっても描き方は大きく変わる。近年では、2018年放送の大河ドラマ「西郷(せご)どん」で松田翔太が徳川慶喜を演じ、前半戦は“ヒー様”という軽やかさ、後半戦は感情的な乱暴者という側面を見せた。田中は「今までの幕末モノとは違う形の徳川慶喜像をお見せできると思います」と自信をのぞかせていた。(取材・文:磯部正和)

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