柴咲コウ、アニメ映画で主人公の亡き母役「脚本と出会った時に涙が…」
柴咲コウが2日、ユナイテッド・シネマ豊洲で行われたアニメ映画『神在月のこども』の完成披露試写会に出演し、声優出演の決め手となった脚本に涙したことを明かした。この日は井浦新、新津ちせ、神谷明、白井孝奈監督も来場したほか、物語の舞台である出雲の試写会に参加した主人公役の蒔田彩珠もオンラインで姿を見せた。
本作は、島根県の出雲に行けば亡き母に再会できると信じ、一羽のうさぎに導かれるようにして旅に出る少女の姿を描くファンタジーアニメ。母を亡くしたことがきっかけで、大好きだった走ることが嫌いになってしまった12歳の少女カンナが、母の形見に触れた彼女の前に現れた神の使いの白いうさぎとともに、出雲への旅へと出発する。
主人公・カンナの亡くなった母親である弥生を演じた柴咲は「脚本と出会った時に涙が出ました。自分の好きなことを信じて生きるのは大人でも大変なこと。それを貫くのも大変なことだと思いますが、小さなカンナは悲しみや諦め、いろいろな心の迷いを抱えて生きている。その時点で応援したくなるなという思いでした」とカンナへの思いを語る。
さらに「人は『諦めずに頑張りなよ』と簡単に言えるかもしれないですが、なかなか諦めずに頑張ることは大変だと思うんです。背中を押してあげられるようなカンナちゃんでした」と思うところも多かった様子。そしてカンナが目指す出雲を治める神・大国主の声を担当する神谷は、台風一過の青空となったこの日の天気に「昨日は(台風で)どうなるかと思いましたが、この作品の成功をお祝いしてくれるような晴れやかな天気となりました。とてもいい作品なので、最後まで味わっていただけたら」と呼びかけた。
この日は、本作の舞台である出雲にある大社文化プレイスうらら館だんだんホールで「出雲プレミア」と題した試写会を実施。こちらの会場にはカンナの声を務める蒔田のほか、原作・コミュニケーション監督の四戸俊成、作画監督の佐川遥、主題歌を歌うmiwaが参加。東京と出雲の会場を生中継でつなぐこととなった。
蒔田は「オンラインでつながるという不思議な感じになっています。こちらではのんびりとはできていないんですけど、人が温かくて、(出雲を)堪能しています」とあいさつ。声の収録は新型コロナ感染対策のために少人数単位で行われたそうで、親子役ながら柴咲とはこれが初対面。お互いに「はじめまして!」とあいさつすると、柴咲は「不思議な時代ですね。声は個人でブースに入って録っていたので」としみじみ。また、カンナを男手一つで支える父親の声を担当した井浦は映画『朝が来る』でも蒔田と共演もあり、「こんにちは、彩珠さん!」と親しげに呼びかけた。
和気あいあいとした中継も終わり、改めて本作の見どころについて質問された柴咲は「個人的な感情で申し訳ないですが、私は神谷明さんの声で育ったといっても過言ではないので、今日もこういう場所に一緒に立てるということも光栄です。何と言っても神谷さんの声は神がかっています。ぜひ皆さん堪能してください」と紹介すると、神谷も「ありがとうございます」と笑顔で返すひと幕もあった。(取材・文:壬生智裕)
映画『神在月のこども』は10月8日より全国公開