『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』日本もロケ地候補だった
映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のロケーションマネージャーであるチャーリー・ヘイズがインタビューに応じ、日本も同作のロケ地候補だったことを明かした。
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『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の悪役は、能面を愛用していることに加え、アジトを枯山水や盆栽、畳で飾り立てているなど日本要素が強めなサフィン(ラミ・マレック)。彼のアジトがある島に選ばれたのは、北大西洋にあるデンマークのフェロー諸島だ。ヘイズが「どこからも遠く離れていると感じられるような、素晴らしく孤立した場所」と表現するフェロー諸島の映像が、映画ではCGを使って加工され、架空の島として登場する。
非常に日本風なアジトということで、そもそも同作のロケ地として日本を検討することはなかったのか? との問いに、ヘイズは「実際、検討したんだよ!」と即答し、「どのくらい話していいのかわからないけど(笑)、東京はかなり初期の段階からしばらくの間、ロケ地として間違いなく検討されていた。たくさんのアイデアが出て、全員が撮影するのに熱狂していた場所があったんだ」と語る。「脚本が違う方向に進んでしまって、最終的には上手くハマらなくなってしまったんだけど、長い間、話し合われたよ」と『007は二度死ぬ』に次いで日本が『007』映画のロケ地となる可能性があったと明かした。
本作の撮影が行われたのは、フェロー諸島に加え、ノルウェー、ジャマイカ、イタリア、そしてイギリスだ。ノルウェーはマドレーヌ(レア・セドゥ)の家族の家のシーン、ジャマイカは引退後のジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)の家、イタリアはボンドとマドレーヌの旅行先として登場する。
「ノルウェーでは、オスローの北の森で撮影した。寒々しくて恐ろしく、ドラマチックなオープニングで悪役が初登場するシーンでもあり、観客の記憶に残るものになっていると思う。信じられないほど映画的な道である大西洋道路(アトランティック・オーシャン・ロード)も使ったよ。ジャマイカでは、ポート・アントニオとキングストン。ジャマイカは、ボンドが静かな引退後の暮らしをするにはもって来いの場所だ。イタリアでは、主に南イタリアのマテーラ、加えてプーリアとサプリでも撮影した。マテーラは本当に美しい歴史的な街で、そこがドラマと危険なカーチェイスの舞台となる。イギリスでもたくさん撮影をした。パインウッド・スタジオでの屋内での撮影に加えて、ロンドン、ウィンザー、そしてスコットランドでのロケーション撮影もね」
イギリス最大の空軍基地、ブライズ・ノートン空軍基地も撮影場所に使われている。これについてヘイズは「『007』シリーズは、イギリス軍と素晴らしい協力関係を築けているんだ。陸軍、海軍、空軍の全てとね。この関係は自然に生まれたもので、それはジェームズ・ボンド自身が海軍中佐であり、常に世界を守ってきた彼と軍とは共通点があるからだと思う」と分析している。
ちなみに、『007/慰めの報酬』(2008)からシリーズに関わってきたヘイズにとって、特に特別な思いのあるロケーションは『007 スペクター』(2015)におけるオーストリア・ゼルデンの山頂とのこと。「僕たちはそこにある ice Q というレストランをマドレーヌの診療所に変えたんだ。そしてカーチェイスの始まりの場所でもある。あの場所に立つと、まるで世界の頂上に立っているようなんだ。周りの山々よりも高い場所で、本当に息をのむ景色だ。オーストリアは僕たちを歓迎してくれて、今その場所には『007』の博物館もできているんだよ」と楽しげに語っていた。(編集部・市川遥)
映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は公開中