男尊女卑、いじめ…『ミッドナイトスワン』内田英治監督が80年代の映画制作現場描く『雨に叫べば』配信決定
『ミッドナイトスワン』の内田英治監督が女優の松本まりかを主演に迎えた映画『雨に叫べば』が、12月16日より Amazon プライムビデオで配信されることが12日、明らかになった。1980年代後半、まだ男尊女卑やパワハラの匂いが残る時代の映画の撮影現場を舞台に、松本演じる新人監督がさまざまな困難にぶつかっていくさまを描く。松本にとって、内田監督とはWOWOWドラマ「向こうの果て」に続くタッグ。本作に「私の役はかつての内田監督自身だそうで。それはそれはとても面白い役でした。とにかくイジメられる。こてんぱんにイジメられる。新人で、女監督で、演出が意味不明で、ファッションが気に食わないからと、いじめられていじめられて。映画作りに関わる全ての者たちのプライドがぶつかり合うこの昭和の撮影現場には男尊女卑、年功序列、コンプラ的にギリギリの怒号も飛び交います」とコメントを寄せている。製作は、東映並びに東映ビデオ。
本作は、今年5月から7月にかけてWOWOWで放送された松本の連続ドラマ初主演作「向こうの果て」に続いて、松本と内田監督がコンビを組むもの。松本が演じるのは、映画の撮影現場で悪戦苦闘する監督の花子。ベテランスタッフたちからイジメの洗礼を受け、控え室では絡みのシーンを巡ってアイドル俳優と落ち目のベテラン女優の間でトラブルが勃発。ようやく撮り終えた渾身のシーンも映検(映画のレイティングを判断する機関)のレイティングに引っ掛かり、次第に追い込まれていくなか、現場の混乱した状況を聞きつけたプロデューサーからクビを告げられてしまう。
松本演じる主人公を取り巻く、一癖も二癖もある面々のキャストも発表。スタッフ役では、アメリカ帰りのキザなプロデューサー・井上に内田組常連の渋川清彦、現場に翻弄される制作プロデューサー・橘に高橋和也、特機部で花子を温かく見守る金子に濱田岳、カメラ助手・よしえにモトーラ世理奈。俳優役では、アイドル俳優・新二に須賀健太、新二にライバル心むき出しの若手俳優・和人に矢本悠馬、ベテラン女優・楓に大山真絵子。
ほか本田博太郎、大和田伸也、菅原大吉、相島一之らが出演。なお、本作は第58回台北金馬映画祭における「映画についての映画」を集めた新設部門「Viva Cinema! (ビバ・シネマ!)」部門でワールドプレミア上映、第41回ハワイ国際映画祭では新作日本映画の中から選りすぐりの作品を上映する Spotlight on Japan (スポットライト・オン・ジャパン)部門で北米プレミア上映が決定している。
主演の松本、内田監督のコメントは下記の通り。(編集部・石井百合子)
主演・松本まりか
私の役はかつての内田監督自身だそうで。それはそれはとても面白い役でした。とにかくイジメられる。こてんぱんにイジメられる。新人で、女監督で、演出が意味不明で、ファッションが気に食わないからと、いじめられていじめられて。映画作りに関わる全ての者たちのプライドがぶつかり合うこの昭和の撮影現場には男尊女卑、年功序列、コンプラ的にギリギリの怒号も飛び交います。監督の手にかかったこの昭和の現場は面白いほど再現され、たちまち活力、生命力、そして笑いに溢れた世界になるのです。舞台裏でどういう風に映画を撮っているのか、映画スタッフたちはどんな会話をして、どんないで立ちなのか、撮影現場の裏側を見られるワクワク感で、ついつい前のめりになって観てしまうと思います。特筆すべきはキャスト陣のお芝居です。正直、たまらないです。すぐにその意味がわかると思います。2021年は初主演を内田組、そして今作と、2作連続で内田監督作品が続いていることに素敵な縁を感じずにはいられませ
ん。
内田英治監督
また作品作りが出来ました。そして題材は「昭和」の映画撮影所。熱烈的であり、一方で多くの問題をはらんでた昭和時代。夢と笑いと怒りと悲しみが同居していた、80 年代の撮影現場。夢の場所を駆け抜けた映画人たちを、松本さんはじめ、多くの素晴らしいキャストが演じてくれました。ぜひ見ていただきたいです。