菅田将暉&原田美枝子がW主演!川村元気が「百花」を自ら映画化して長編監督デビュー
映画プロデューサー・脚本家の川村元気が2019年に発表した小説「百花」が、菅田将暉と原田美枝子のダブル主演で映画化されることが明らかになった。監督・脚本を川村自身が手掛け、長編映画監督デビューを果たす。劇場公開は2022年9月9日の予定となっている。
原作となる「百花」は、川村にとって「世界から猫が消えたなら」「億男」「四月になれば彼女は」に続く4作目となる小説。川村自身の体験をもとに、二人で生きてきた親子の愛と記憶と、忘れられない事件をめぐる物語が描かれる。現在まで発行部数18万部を突破している。
映画プロデューサー・脚本家として『告白』『悪人』『モテキ』『君の名は。』『竜とそばかすの姫』『映画ドラえもん のび太の宝島』などの作品に携わってきた川村。監督としては2018年のカンヌ国際映画祭短編コンペティション部門に出品された『どちらを』(英題:Duality)などを手掛けているが、今作が初めて長編監督を務めることになる。
菅田が演じるのは、記憶を失っていく母と向き合うことで母との思い出を蘇らせていく息子・葛西泉。レコード会社に勤務し、社内結婚をしてまもなく子どもが生まれようとしているが、封印していたはずの過去の記憶に向き合うことなる。そして、母・葛西百合子を原田が演じ、女手一つで育ててきた息子と、とある事件をきっかけにすれ違うようになってしまったが、記憶を失っていくなかで思い出の奥底にある秘密に手を伸ばそうとする母の姿を表現する。
また、夕暮れ時の諏訪湖を背に微笑む原田と菅田の姿を捉えた劇中ビジュアルと、本編映像を散りばめた超特報映像も公開。40秒の映像は、菅田による「また、母が遠くへ行ってしまいそうな気がした」というナレーションから始まり、花火を見つめたり、お互いを探して駆け出たりする二人の姿をはじめ、随所に映し出される印象的な花など、現在と過去の記憶が入り混じっていく様子が切り取られている。
脚本には川村とともに『どちらを』を手掛けた平瀬謙太朗が参加し、音楽を網守将平が担当する。撮影は2021年6月17日から始まり、8月12日にオールアップ。関東近郊、兵庫県神戸市、長野県諏訪市、千葉県いすみ市ほかにてロケが行われた。(編集部・大内啓輔)
コメントは以下の通り
・菅田将暉(葛西泉役)
川村元気さんとはこれまでいろんな現場でお会いし、何本もお世話になっているのですが、世界中を飛び回り常に新しいものを探し続けるその姿勢に、どこか超人めいた華やかさを感じていました。しかし今回ご自身で書き、監督する「百花」を初めて読んだときにびっくりしました。こんなにも小さな、小さな
小さな物語。誰もが通る、親子の、家族の、褪せていく記憶の世界。どうしようもない人間の性があふれていて、原作小説を読みながら気づいたら泣いてました。今、川村元気さん本人の手で残すべき作品だと思いました。自分の曖昧な記憶と向き合い、忘れていく人間を自覚し、足掻いていこうと思いました。そして、一生忘れられないテイクが生まれました。原田さんとふたり、ボロボロになりました。ふと思い出してはニヤニヤしています。公開が楽しみです。みなさまの記憶にこびりつき、明日がより豊かになることを願っています。
・原田美枝子(葛西百合子役)
私自身、母の記憶にまつわるドキュメンタリー映画をつくっていたので、この本をすごく面白く読ませていただきました。当たり前だったことが次の瞬間わからなくなる、記憶を失っていく様をリアルにみせていくのは、非常に難しく大変でした。また現在の自分と20歳以上若い過去の自分の両方を演じたりと、いろいろなチャレンジがあり、冒険をさせてもらった現場です。
菅田さんは個性の強い方という印象だったんですけど、話し始めたらすごく素直で頼れる方で、たくさん支えてもらいました。川村監督は俳優のことをちゃんと見てくださる方で、信頼して身を任せることができました。
なかなかOKが出なかったシーンのロケで、ふと空を見たとき、黒澤(明)さんや溝口(健二)さん、私の恩師である増村(保造)さんたちが並んで見守ってくれているような、不思議な感覚を味わいました。
みんなで魂を込めて作った作品です。楽しみに待っていてください!
・川村元気(原作・監督・脚本)
「あなたは誰?」
五年前に私のことを忘れてしまった祖母。
徐々に記憶を失っていく祖母と向き合いながら、私自身が様々なことを忘れていたり、記憶を書き換えながら生きていることに気付かされました。
人間は体ではなく記憶でできている。
どうしようもない瑣末な記憶ですら、それらは複雑にその人に根ざし、その人を形成している。
そんな実感から生まれた小説が「百花」でした。
原作小説を読み、すぐに電話をかけてきてくれた菅田将暉くん。
脚本や芝居について。何度も話し合いを重ねた原田美枝子さん。
監督をしながら自分で書いた物語の記憶は散り散りになり、いまは素晴らしいスタッフ、キャストと共有する記憶として再構成されています。
目下編集中ですが、菅田将暉、原田美枝子の凄まじい姿が映っていることだけは確かです。
完成をしばし、お待ちいただければ幸いです。