ドニー・イェン＆谷垣健治、アクション師弟が語る『レイジング・ファイア』白熱バウト！
中国大陸で4週連続ナンバーワンを記録したアクション大作『レイジング・ファイア』において、正義に燃える刑事を演じたドニー・イェン。『ジョン・ウィック』4作目の撮影から帰国したばかりの彼が、師弟関係でもあり、本作ではスタントコーディネーターを務めた谷垣健治とともに、アクション愛など撮影裏話について語った。
『香港国際警察／NEW POLICE STORY』などで知られる巨匠ベニー・チャン監督の遺作となってしまった本作だが、ドニーにとっては、1995年放送のドラマ「精武門」以来、お互い満を持してのコラボになった。「縁というものはとても大事なもので、『新少林寺/SHAOLIN』でアンディ・ラウが演じた主人公を私が演じる話もあったのですが、上手くタイミングが合いませんでした。そんななか、私とアンディが共演した『追龍』を観てくれたベニー監督が声をかけてくれたことから、この映画は始まったんです」（ドニー）。
当初はメキシコを舞台にした麻薬組織撲滅の話になる予定だったが、予算の都合で製作がストップ。ドニーのアイデアから、ベニー監督が得意とする香港が舞台の警察アクションに変更することになった。そして、今回プロデューサーも務めるドニーは、絶対の信頼を寄せる谷垣健治にスタントコーディネーターを依頼した。
「私がやりたいことをいちばん知っている相棒ですから！ ただ、ケンジさんがほかの作品で忙しく、（ジャッキー・チェン作品を務める）ニッキー・リーら3人で分担し、各アクションシークエンスを作ることになりました」と語るドニー。それに対し、谷垣は「これはハリウッドでもよくやっているやり方。分担といえども、結局はドニーと監督がやりたいことを現場でどう実現させるか？ ということが大事なのでそこでのブレはなかったし、そこに僕らそれぞれの撮り方の個性みたいなものもちょっとだけ足されることがこの映画のアクションをさらに豊かなものにしたと思っています」と三者三様のアクションを楽しめることを明かした。
劇中、ドニー演じるチョン警部と対峙（たいじ）する、復讐に燃える元警官・ンゴウを演じるのは、長らくドニーと共演していなかったニコラス・ツェー。「最初はニック・チョンが予定されていましたが、タイミングが合わず、ベニー監督のアイデアでニコラスになりました。ただ、彼はアクション俳優ではないので、クライマックスにもっていくまでに、なんらかの説得力を持たせようと、登場シーンからンゴウの狂気を描いていくことにしました」（ドニー）。その狂気を垣間見れるのが、谷垣が担当した中盤でのンゴウの立ち回りシーンである。「昔から無鉄砲で、危ないことも何でもしたがる印象は変わってません（笑）。ただ、いろんな経験が身について、役者として成熟したと思います」とニコラスをデビュー当時から知る谷垣は、彼の成長を喜ぶ。
さらに、谷垣が担当したのは、ドニーとニコラスが教会で一騎討ちを果たす白熱のクライマックス。「事前にテストしたものを、ドニーとベニー監督にも見てもらい、OKをもらいつつ、現場でも彼らの意見をいろいろ取り入れていきました。なので、後悔なく存分にやれたというかね。これから観るお客さんにも楽しんでいただけたらという思いです」と語る谷垣に対し、ドニーも「私は完璧主義者ですから、役者としてのほか、作品の持つドラマ性やスタイル、音楽などにも目を配りつつ、常にベストを尽くしました。ケンジさんも頑張ってくれたし、みんなのチームワークによって、とても満足がいく、素晴らしい作品になりました」と絶賛。そんな男たちが作り上げた「怒りの炎」が劇場のスクリーンでぶつかり合う。（取材・くれい響）
映画『レイジング・ファイア』は12月24日（金）よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開