「カムカム」ひなたと文四郎の関係は現代的?バチバチの小競り合いに注目
連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(月~土、NHK総合・午前8時~ほか、土曜は1週間の振り返り)が第16週に突入。第15週の終わりには、るい(深津絵里)が営む回転焼屋に京都映画村の大部屋俳優・五十嵐文四郎(本郷奏多)が訪れ、ヒロインのひなた(川栄李奈)と“感じの悪い”出会いが描かれた。これまで安子(上白石萌音)と稔(松村北斗)、るいと錠一郎(オダギリジョー)に続く、ひなたと文四郎の恋模様はどのような形で描かれていくのだろうか?
連続テレビ小説の第105作「カムカムエヴリバディ」は、昭和から令和にわたる時代をラジオ英語講座と共に歩んだ祖母・母・娘、3世代の親子の100年を描いた物語。時代劇をこよなく愛する女の子に成長したひなたは、京都に設立された条映太秦映画村が開催した「ミス条映コンテスト」に応募し、映画村へと足を運ぶのだった。
その演技審査の際、相手役として登場したのは文四郎。その顔を見ると、ひなたは回転焼屋での無礼が頭をよぎり、思わず文四郎を切ってしまう。そんなひなたを「馬鹿な奴」と冷やかな視線でつぶやく文四郎とひなたの仲は最悪に。「安子編」での安子と稔、「るい編」のるいと錠一郎は、共に「憧れ」をキーワードに関係性が始まっていたが、ひなたと文四郎のファーストインプレッションは最悪なもの。どちらも「いけ好かん奴」という気持ちを抱いている。
この点について、制作統括の堀之内礼二郎は「恋の仕方の違いには時代性もあらわれると思います」と前置きすると「安子さんの時代は、戦争が身近な社会だったこともあり、男性が優位に扱われることが多い時代でした。安子さんも稔に対して慎みと敬意を持って接していました。そこからるいさんと錠一郎さんの時代を経て、男女が対等な立場になりつつある現在に近づいて来ているという背景もあると思います」と説明する。
さらに「安子さんもるいさんも王道の恋愛ストーリーを辿っていたと思うのですが、ひなたと文四郎のような関係も恋愛ドラマの王道ですよね。最初、マイナスなイメージを持っている二人が、相手を知っていくにつれて、よいところに触れてだんだんと関係を深めていくわけですからね」と語る。
実際、第16週ではオーディションでのひと悶着から、互いを挑発してバカにしあうようなシーンが続く。堀之内いわく「るいさんとジョーさんで対等な関係が描かれ、そしてひなたと五十嵐に至ってはお互い気に食わないとはっきり言い合えるような関係に。ある意味現代的な、そのバチバチの小競り合いを楽しんでいただけたら」という。
ポップな展開が続いた第16週。堀之内は「今週はひなたがフルに登場する最初の週ということで、どんなキャラクターであるのかをしっかりと見ていただきたい、という思いがありました」と意図を明かす。「ボケも突っ込みもする、ひなたというキャラクターを純粋に楽しんでほしいです」
この言葉通り、小気味よいひなたが存分に楽しめるとともに、文四郎という新たな“ヒロインの相手役”のお茶目な部分も味わえる第16週。ラストでは、“罵り合う”関係性から、互いの共通点が見えてくることに。今後の二人がより楽しみになってきた。(取材・文:磯部正和)