広瀬すず、李相日監督と6年ぶり撮影で本音
女優の広瀬すずが13日、都内で行われた映画『流浪の月』(5月13日公開)完成披露試写会に出席。『怒り』以来、6年ぶりのタッグとなる李相日監督から「広瀬すずの代表作を撮らなければという思いが強かった」と言われた広瀬は、照れながらも充実した撮影を振り返った。
本作は、2020年に本屋大賞を受賞した凪良ゆうの小説が原作。誘拐事件の被害者と加害者になった少女・更紗(広瀬すず)と青年・文(松坂桃李)が15年後に思わぬ再会を果たし、世間の目を受け入れつつも抗いながら生きていく。試写会には松坂桃李、横浜流星、多部未華子も登壇した。
広瀬は、2016年公開の李監督作品『怒り』で、米兵から暴行される少女を熱演し新たな一面を見せた。公開当時、現場で李監督から厳しい演出を受けたことが報じられていたが「前回は自分の持てるすべてを出したけれど、あれが限界でした」と苦笑い。「毎日厳しいことはありましたが、李監督はいつもわたしの味方でいてくれて、演じるってこういうことなんだと知ることができました」と撮影を振り返る。
そして迎えた6年ぶりのタッグ。広瀬は「自分もこの6年で、いろいろなものを経験して、価値観やお芝居の感覚が変わっていたのですが、実際に現場に立つと、どうしていいかわからなかったんです」と正直な胸の内を明かす。そこで李監督に素直に「わからない」と話したところ、李監督から「それじゃあこの映画はダメだね」と言われ、「とにかく頑張ります」とエンジンが掛かったといいう。
広瀬が演じた更紗は、幼少期に松坂ふんする文に出会い心を通わせていくが、世間から少女誘拐の被害者として好奇の目に晒されるという役どころ。それでも更紗の文への思いは強く、2人の関係は複雑だ。そんな役柄にちなんで「切っても切れない宿命とも言える関係」について聞かれた広瀬は「姉」と広瀬アリスの存在をあげる。
広瀬は「姉妹であり、友達であり、同業者であり、先輩でもある……いつも何だろうと思いながらも、切っても切り離せない不思議な距離感の存在です」と説明するが、「でも一瞬、李監督と書こうかなと思ったんですよね」とも。すると李監督も「俺も、すずって書こうかなと思ったんだよね」と言い、松坂は「関係値ができあがっていますね」とツッコミを入れていた。(磯部正和)