吉田美月喜、アイヌ文化伝承者・知里幸恵さんモデルに描く『カムイのうた』で主演 23年秋公開
ドラマ「今際の国のアリス」「ドラゴン桜」などの吉田美月喜が、1903年に生まれ19歳の若さで亡くなったアイヌ文化伝承者、知里幸恵(ちり・ゆきえ)さんをモデルにした映画『カムイのうた』(2023年秋公開予定)で主演を務める。19日、北海道東川町で行われた製作発表会で明らかになった。
吉田が演じる主人公テルのモデルとなった知里さんは、アイヌの血を引き、失われつつあったアイヌの伝統文化(口承叙事詩“ユカラ”※ラは小文字)を日本語に訳した「アイヌ神謡集」を書き上げ、その業績はアイヌ民族の人々に大きな自信と誇りをもたらした。本作では、彼女の生きざまをモチーフに、明治・大正期、土地や生活を奪われ消滅の危機に瀕していたアイヌ民族の生、伝統や文化を、雄大な北海道の自然の中に描き出す。北海道東川町の協力のもと、オール北海道で作り上げられる。監督・脚本を、『ぼくらの七日間戦争』(1988)、『写真甲子園 0.5秒の夏』(2017)などの菅原浩志が務め、共演に望月歩、阿部進之介、島田歌穂、加藤雅也ら。
今から100年前。学業優秀にも関わらず、アイヌの血を引くというだけで希望する進学を阻まれた少女テル(吉田)。アイヌというだけで差別を受け未来への道が閉ざされ、テルは「この苦しみもカムイの神様が与えているの?」と自問する。そんな時、アイヌ語研究の第一人者である兼田教授が北海道に訪れ、アイヌの口承文芸ユカラを日本語訳に訳すことを勧められる。テルは幾千年の伝統を持つ美しい言葉を残すために上京を決意する。しかし、テルには将来を誓うアイヌの青年、一三四(ひさし)がいた。
会見には、主演の吉田をはじめ菅原浩志監督、松岡市郎東川町長、旭川アイヌ協議会の川村久恵さんが参加。吉田は、以下のように意気込みを語った。
「この映画の話を聞くまで、アイヌ文化やアイヌの方々の知識はあまりありませんでしたが、この映画のためにアイヌ文化を学び、例えば『もの一つひとつに神様が宿っている』という考え方や、『大切な自然の中で共に生かされている』というアイヌ民族の考え方が、今私たちが現代を生きていく中でとても大切な考え方なんじゃないかな、ということを感じています。また、最近私自身 19歳になりました。知里幸恵さんが同じ19歳の時に『アイヌ神謡集』を書かれたということを知り、とても大人で、素敵な考え方をもった女性だったんだなと感じています。そんな知里幸恵さんがどういう気持ちでこの本を書き上げて生きていったのかを、映画を通してみなさまに伝えていけたらよいなと思っています。監督をはじめ、この映画の制作に関わる方々の強い熱い思いを感じているので、しっかりと背負って撮影に挑んでいきたいと思っています」(編集部・石井百合子)