『殺しの烙印』ベネチア映画祭クラシック部門で最優秀復元映画賞
第79回ベネチア国際映画祭
8月31日から9月10日にかけて、イタリアで開催された第79回ベネチア国際映画祭のクラシック部門で、故鈴木清順監督の『殺しの烙印』4K デジタル復元版 が、アジアで初めて最優秀復元映画賞を受賞した。
『殺しの烙印』は、鈴木監督が1967年に発表した作品。宍戸錠さんを主演に迎え、米の炊けた匂いがすこぶる好きな殺し屋・花田を主人公に、No.1の地位を目指す殺し屋たちの姿をスリリングかつスタイリッシュに描く。花田が米の炊けた匂いに恍惚となるシーンはあまりに有名で、現地時間5日に行われたワールドプレミア上映でも、この名場面やいくつのもシーンで満席の会場から笑いが起こり、上映後は拍手喝采と、上々の反響だったという。
フランスで日本映画のクラシック作品を多数手掛けるカルロッタフィルムズ代表ヴィンセント・ポール=ボンクール氏は「エンターテインメント作品にもかかわらず、大胆不敵。炊きたての米の匂いをかぐことにとらわれた主人公に象徴されるフェティシズムと、スリラー、ノワール、スパイ、エロティシズムー。様々なジャンルが縦横無尽に行き来している。そしてすべてのタランティーノ的スタイルの映画に影響を与えてきた本作は、復元によってその素晴らしさが蘇った。4K 復元版 でこそ再発見されるべき名作だ」とコメントしている。
現地時間10日に行われた授賞式は、日活110年目の創立記念日にもあたり、同社執行役員の林宏之氏は「当社創立110周年を迎えるまさにその日に、アジア映画初の最優秀復元映画賞受賞という栄誉に浴し、これ以上の喜びはありません」と語った。4Kデジタル復元版は11月3日から10日までシネスイッチ銀座で開催される、110周年記念特集上映「Nikkatsu World Selection」の1作として上映される。(編集部・入倉功一)