トニー・レオン、共演したい韓国人俳優は?真っ先に挙げた2人
アジア映画産業と文化発展に寄与した映画人に授与される「今年のアジア映画人賞」に選ばれ、5日に行われた第27回釜山国際映画祭オープニングセレモニーに登壇したトニー・レオン。翌6日午前に行われた記者会見では、受賞の喜びと共に自身の演技観について語った。
1997年に『ブエノスアイレス』で初めて釜山国際映画祭を訪れ、今回が4度目の釜山となるトニー。「わたしが初めて釜山国際映画祭に来たときは、会場までの道幅も狭くてファンにもみくちゃにされ靴が脱げたほどでした。しかしながら来る度に映画祭も街も発展し、昨日の盛大なオープニングセレモニーには驚かされました」と目を見張っていた。
昨今は『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)でハリウッドに進出。自身の演技生活にとっては転機となる作品だった。「この作品で初めて父親を演じました。10年前は父親役のオファーが来ることはありませんでしたが、新しい役に挑戦できて嬉しかった」と自身の年齢に相応の役を演じられるようになったことを喜んでいた。
そして、彼が今もっとも興味があるのが悪役。「俳優ならさまざまな役を演じたいと思うのですが、悪役のオファーは少なく、しかも『最後は実は……』というパターンが多くて、次回はぜひ連続殺人魔を演じてみたい」と、変わらず新境地を模索している。
そんなトニーもいつしか今年で還暦になり、俳優人生も約40年を迎える。「40年間の演技者生活を振り返ると、最初の20年は学びの段階、次の20年は発展の段階。これからはマイペースで、俳優としての活動を続けて行きたい」とこれまでの歩みを述懐。
共演してみたい韓国人俳優には、チョン・ドヨンとソン・ガンホの名を真っ先に挙げたトニー。「昨今は配信作品を中心に世界中で旋風を起こしている韓国ドラマからオファーが来たら?」という質問に「わたしはドラマからキャリアをスタートし、デビュー当時の自分を知っているファンのためにドラマにも出演したいと考えています。『シャン・チー』もそうですが、わたしは人の縁を大事にして出演を決めています。ただ、言葉の問題があるので、セリフのない役で、よい縁があれば韓国ドラマにも出演したい」とさらなる活動域に興味を示した。
ところで、彼のSNSにはよく日本が登場する。先日も東京から発信していたことが、会場の記者から指摘されると「わたしはスノーボードが好きでよく北海道へ行っています。北海道は大好きなのですが、時には都会も恋しくなって東京へも行くんですよね」と、親日家の一面を見せていた。
釜山国際映画祭期間中は、トニー自身がセレクトした『大英雄』(1993)、『ロンゲストナイト』(1998)、『ブエノスアイレス』(1997)、『花様年華』(2000)、『インファナル・アフェア』(2002)、『2046』(2004)の6作品が上映される。(取材・撮影・文:土田真樹)
釜山国際映画祭は10月14日まで開催