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柳楽優弥&片山慎三監督、海外で実感した“世界は広い”と思える幸せ

シンガポールで開催された「ディズニー・コンテンツ・ショーケース 2022」での柳楽優弥&片山慎三監督
シンガポールで開催された「ディズニー・コンテンツ・ショーケース 2022」での柳楽優弥&片山慎三監督

 二宮正明の人気漫画を実写化したドラマシリーズ「ガンニバル」(ディズニープラス「スター」で12月28日配信開始)を引っ提げ、11月30日から12月1日にかけてシンガポールで開催された「ディズニー・コンテンツ・ショーケース 2022」に出席した主演の柳楽優弥片山慎三監督。アジア各国を代表するクリエイターとの交流を通して、「可能性を感じることができる環境にいる」ことを再認識したという二人が現地で取材に応じ、世界基準を目指した作品づくり、制作に影響を与えた映画やゲームについて語った。(取材・文:編集部・倉本拓弥)

【動画】柳楽優弥が変なステップを?「ガンニバル」柳楽優弥×笠松将インタビュー

 「ガンニバル」は、外界から閉ざされた供花村(くげむら)を舞台に、とある理由で村に駐在として赴任することになった警察官・阿川大悟(柳楽)が、一人の老婆の奇妙な死をきっかけに、「人が喰われているらしい」との噂が流れる村の異常性に気づいていくヴィレッジ・サイコスリラー。『岬の兄妹』『さがす』で注目された片山監督をはじめ、脚本に大江崇允(『ドライブ・マイ・カー』)、プロデューサーに山本晃久(『ドライブ・マイ・カー』)と岩倉達哉(『闇金ウシジマくん』シリーズ)が名を連ねるなど、世界発信のドラマ制作に向けて豪華な布陣が揃った。

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■片山監督が惹かれた、柳楽優弥の“強い目”

Q:(柳楽さんへ)先日の東京国際映画祭では「原作コミックがある作品ですが、実写化するうえでの強みも見つけることができたし、人物の描写もより丁寧に描くことができ、映像のクオリティーも今まで観たことがない仕上がりになっていると思います」とお話されていました。

柳楽優弥(以下、柳楽):もちろん、漫画としての良さが原作にはあります。実写版では、いわゆるカッコいいアクションが少し生々しく、本当に喧嘩しているように思わせるようなシーンに仕上がっていたり、家族との関係性とかも、見え方が漫画と少し違いますよね。実写にしてみて感じる部分があることが、強みだと思っています。

Q:(片山監督へ)配信ドラマの制作には以前から興味があったのでしょうか?

片山慎三監督(以下、片山監督):Netflixや Amazon Prime Video などストリーミングが増えてきた頃から興味がありました。日本だけではなく、全世界に配信されることがすごく魅力的だと思っていたので、今回実現することができてよかったです。劇場公開の映画は、基本的にお客さまが最後まで観てくださいますが、配信だと面白くないと感じた瞬間、すぐに視聴を止めて他のコンテンツに移ることが多い。そうならないためにも、いかに興味を持続させて観ていただけるかを考えながら制作することが、劇場公開の映画と違うところです。

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Q:実際にタッグを組んでみて、俳優・監督としてお互いのどんな部分に惹かれましたか?

片山監督:柳楽さんの“強い目”が印象的です。野生的といいますか、キャラクターを演じている時に本能的な部分が見え隠れするところがありまして、そこが魅力的だなと思いました。

柳楽:監督が手がけた『岬の兄妹』『さがす』もそうですが、センシティブなテーマでも最後まで作品に入り込めるところ。ストーリーのテンポの良さはもちろん、撮影現場のチームワークにも惹かれました。片山組のリーダーシップに、ついていきたいと思える座組みでした。

■人気ゲーム「ゴースト・オブ・ツシマ」からの影響

Q:(片山監督へ)全世界配信されるドラマの制作にあたって、影響を受けたり、参考にした作品はありますか?

片山監督:たくさんありますが、一つは「Ghost of Tsushima」(ゴースト・オブ・ツシマ)という時代劇ゲームです。作中で描かれる日本の景色がとても綺麗で、あの風景をドラマでも描きたいなと、自分の中で目標にしていました。他にも『ミッドサマー』(スウェーデンの奥地にある村が舞台のホラー)や、韓国の『ビー・デビル』(美しい弧島で起こる悲劇を描いた問題作)からも影響を受けました。『ビー・デビル』は閉鎖された空間で起こるスリラーという意味では、すごく参考にしました。

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Q:本作は没入感もすさまじいです。阿川が運転するパトカーに乗っているかのようなショットも登場しますが、そうした没入感も意識されているのでしょうか?

片山監督:毎エピソード息をすることも忘れるくらい、没入してほしいことを意識しながら制作しています。パトカーのシークエンスも同様に、同じアングルで退屈だなと思わせて、突然木が倒れてきたり、ちょっとした時間の流れを作りやすいような画角で撮ったりするなど工夫しています。

柳楽:日本のドラマに出演していると、ある一定のテンポや撮影方法があると感じるのですが、本作の撮影チームのみなさんには「それを崩したい」という気持ちを感じました。長時間の撮影でよりいいアングルを探していったり、撮影監督もライブ感も求めていたりと、国内向けの決められたフォーマットからはみ出たいなという、クリエイターとして前向きな気持ちが撮影現場にはありました。

■アジア各国の作品から刺激

Q:原作には衝撃的なシーンが何度も登場します。実写化において、そういった描写とはどう向き合っていきましたか?

片山監督:原作漫画を読んでみると、表紙の怖い描写と本編で描かれる濃い人間関係の印象のギャップがあると感じたんです。ドラマも自分が選んだ印象で作った方がいいなと思って、ショッキングな表現はあまり全面に出さないように撮っています。目を背けたりするぐらい痛そうでショッキングなシーンは、極力入れないように配慮しているつもりです。

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柳楽:ただマイルドであればOK、ということではありません。サイコスリラーだからドキドキする場面もありますし、家族愛を軸にストーリーが進んでいることもアピールしたいし、難しいですよね。今回のイベントでは、滅多に会えないアジア各国のチームが参加していて、韓国作品の勢いなども感じる中で「進んでいるな、悔しいな」と思う場面もありました。各国の作品には、栄養豊富な素材がたくさんありますし、そこは「ギブ・アンド・テイク」だと感じています。パワーを持っている人から学んだり、各国のインタビュー対応も覚えることができる。可能性を感じられる環境にいて「世界って広いな」と思えていることが、すごくラッキーだなと思います。

Q:全7話構成の「ガンニバル」で注目のエピソードはありますか?

片山監督:第3話です。過去に何があったのかなどが明らかになり、(村を支配する)後藤家との対峙も共に描かれているので、ファンの皆さんにはぜひ注目して観ていただきたいです。

柳楽:第1話と第2話で阿川家と村のメンバーが詳しくわかる中で、第3話ではなぜそこに大悟が行ったんだという過去が描かれるので、全編通してキーとなる回です。ぜひ注目していただきたいです。

「ガンニバル」(全7話)は12月28日よりディズニープラス「スター」で配信開始(初回2話同時配信)

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