ダニエル・クレイグはボンドより名探偵ブノワ寄り『ナイブズ・アウト』キャストが明かす

　ダニエル・クレイグが名探偵ブノワ・ブランを演じて高く評価された『ナイブズ・アウト／名探偵と刃の館の秘密』。その第2弾となる『ナイブズ・アウト：グラス・オニオン』が12月23日からNetflixで配信される。先日、ロサンゼルスで行われた記者会見には、監督のライアン・ジョンソンをはじめ、エドワード・ノートン、ケイト・ハドソン、ジャネール・モネイ、キャスリン・ハーンらが出席、本作と会見を欠席した主演のダニエルについて語った。

新たなミステリーが始まる『ナイブズ・アウト：グラス・オニオン』予告編

　ジョンソン監督がオリジナル脚本を手掛けた本作は、 IT企業の大富豪、マイルズ（エドワード）がギリシャの孤島で開催したミステリーゲームで、実際に殺人事件が起きてしまうというストーリー。ジョンソン監督は「アガサ・クリスティのように、全く新しいミステリー、新しい場所、新しい登場人物で（続編を）やろうとしたんだ。彼女は、さまざまなジャンルを織り交ぜたクレイジーなストーリー展開で観客を飽きさせない工夫をした。僕も『すごい』と思わせるような、1作目とは違う作品を作りたかった」と脚本を書き始めた際の思いを語る。

　前作とは全く違う世界の出来事を明確に示すため、舞台もギリシャへと変更。「イギリスの田舎を舞台にしたような殺人ミステリーと同様に、旅先で起こる殺人ミステリーも豊かな伝統を持っているんだ。そのなかでも、『ナイルに死す』や『地中海殺人事件』『シーラ号の謎』なんかは僕が大好きな作品。コロナ禍でロックダウン中の2020年に脚本を書いたから、ギリシャの島に行きたいなぁと思ったのも（舞台に選んだ理由に）あったね」。
　
　出演者にとってギリシャがロケ地というのは大きな魅力だったが、さらにキャスト同志のウマが合ったこともあって、撮影は非常に楽しい思い出になったようだ。ノートンは、「高校の演劇部の頃を思い出すよ。自分たちを解放して、観客と自分たちを楽しませることに専念できたのは素晴らしかった。特に、1年半もパジャマを着て過ごした後にはね」と振り返る。

　億万長者役のモデルになった人物はいたのかと尋ねられたノートンは「ライアンとも何度も話したんだけど、候補者のリストが日に日に増えていった」と返答。具体的な名前は明かさなかったが「『あなたはとてもうぬぼれ屋だから、自分のことを歌っていると思うでしょう』というカーリー・サイモンの歌（『うつろな愛』）みたいだとライアンに言ったよ。そうした億万長者の多くが、彼は自分が参考になったと思うだろう。男性も女性もね」と笑みを浮かべた。

　劇中のフラッシュバックシーンでは、マイルズが『マグノリア』のトム・クルーズにそっくりの衣装を着て登場する。これはノートンの「マイルズは、これまでの人生で一度もオリジナルのアイデアを持ったことがない。あらゆる局面で、他の人から（アイデアを）借りてきた」という発想から、ジョンソン監督の許可をとらずに、衣装デザイナーのジェニー・イーガンと用意したものだったという。

　この日の会見は欠席となったダニエルだが、ケイト・ハドソンは、ジェームズ・ボンド役とは正反対ともいえる南部訛りで話すブノワの話しぶりを初めて聞いた時、「ああ、私は本当に『ナイブズ・アウト』ミステリーの中にいるんだ、って思ったの」と興奮気味に振り返る。「ダニエルは完璧なプロフェッショナルで、全てのセリフを準備万端にして現場に来る。彼はライアンの言葉を尊重し、他の映画スターと同じように、素晴らしいものを持ち込んでくれたわ。そんな撮影に参加して学ぶことができたことは、本当に素晴らしかった」

　またキャスリンも、ダニエルの体を張ったコメディー演技に驚かされたという。「体のコントロールの仕方、肉体的な面からも役柄に身を投じる姿を見ていて、とてもワクワクさせられたわ」。ちなみに、ノートンもケイトも、ダニエル自身はジェームズ・ボンドよりもずっとブノワに近いということで意見が一致していた。

　キャラクターたちのそれぞれの思惑が交錯する、先が読めないストーリーが展開する本作。アメリカでは1週間限定で劇場公開され、前作以上の評判を集めており、多くのファンが配信開始を心待ちにしている。（吉川優子／Yuko Yoshikawa）

Netflix映画『ナイブズ・アウト: グラス・オニオン』12月23日（金）より独占配信