鈴木亮平「これじゃできない」監督の台本を拒否 映画『エゴイスト』制作秘話
鈴木亮平が11日、テアトル新宿で行われた映画『エゴイスト』公開記念舞台あいさつに登壇し、制作にあたり障壁があったことを明かした。この日は、宮沢氷魚、阿川佐和子、ドリアン・ロロブリジーダ、松永大司監督も来場した。
本作は、エッセイスト、高山真さんの自伝的小説を実写化したドラマ。セクシャリティーを隠して生きてきた過去を持つ浩輔(鈴木)は、ある日出会った龍太(宮沢)と惹かれ合うが、一方で言いようのない葛藤を抱える。
鈴木は「この映画は答えがないと思います。愛と思うか、エゴと思うか、依存し合っているだけのグロテスクな関係だと思うか、(捉え方は)人それぞれだと思います」と呼びかけ、「これといったわかりやすいものを提示するのではなく、いろんな色が見えてくる映画ってそうないと思っていて、この作品に携われたことを非常に誇りに思います」と胸を張った。
一方、「これまでに何度か、この映画が作られないんじゃないかという瞬間がありました」と障壁があったことを明かし、「原作に感動して『やりたい』と周りを説得してやらせていただくことになりましたが、届いた台本を見て、監督に『これじゃやれない』と電話したこともありました」と台本に納得できなかったことも打ち明ける。
しかし、松永監督から「僕を信じてくれ。僕が作る映画は、この脚本から役者がリハーサルで演じているのを見て、どんどん生きたものにしていく。台本では伝わらないんだ」と説得されたそうで、鈴木は「あの時、監督を信じてよかったと思います。こんな作品が出来上がると思いませんでした。監督、ありがとうございます」と頭を下げた。
また、本作制作の最終決定を聞くことなく亡くなった高山さんに対する思いも声を詰まらせながら吐露。「人生って突然終わることもあるけれど、本当に素晴らしい。一人の人間が世の中に与えられる影響ってすごいんだなと今日あらためて思っています。天国の高山さんに感謝したいと思います」と言葉を贈った。
様々な思いを胸に世に送り出した本作。鈴木は昨日、同劇場で鑑賞したことや、「1ツイートも逃さず読ませていただいています。批判も称賛も含めて」と、前回の舞台あいさつからエゴサーチを続けていることを報告。宮沢はSNSだけでなく、劇場の予約状況までチェックしており、「昨日、満席の映画館がいくつかあったり、△で1席しか空いてないとか……。今日も明日もかなり入ってくれています」と満足そうに語ると、「さっき僕もチケットを買いました。いつの回かは言えませんが行きます」と宣言していた。(錦怜那)