木村昴「どうする家康」で“ガキ大将”イメージした役づくり
松本潤主演の「どうする家康」(毎週日曜、NHK総合夜8時~ほか)で槍の名人・渡辺守綱(わたなべ・もりつな)を演じる声優、俳優の木村昴が、2作目の大河ドラマ出演を果たした心境や役づくりについて語った。「視聴者の皆さんに物語を楽しんでいただくことを第一に考えつつも、時には時代背景にとらわれ過ぎず、“我が道を行く守綱”を意識して演じていけたらと思っています。いい塩梅を模索していきたいです」と柔軟な役づくりを目指す。
戦国乱世に終止符を打ち、江戸幕府初代征夷大将軍となった徳川家康(松本潤)の生涯を、「コンフィデンスマンJP」シリーズなどの古沢良太が等身大で描く本作。木村演じる渡辺守綱は、武芸で活躍する家系に生まれ、戦場で先鋒をつとめる大男。向こう見ずな性格で槍をふりまわす。普段は手よりも口を動かすのが得意なおしゃべり好きという設定。2月19日放送の第7回で初登場した。
声優を務めるアニメーション映画『THE FIRST SLAM DUNK』(桜木花道役)も大ヒット中の木村。大河ドラマの出演は、昨年放送の「鎌倉殿の13人」(以仁王役)に続いて2作目となる。木村は2年連続の大河出演に「大変光栄に嬉しく思っております。前作では、一話のみの出演でセリフも3行程だったので、今回も『わずかでもお力になれれば……』くらいの気持ちでいたのですが、台本を束でドーンと頂きまして、結構出てくる役なのだと悟りました。嬉しい反面、『どうする昴?!』と思ったところからスタートしました」と話す。
実は小学生の頃に大河のオーディションを受けたことがあるという木村。祖父が熱烈な大河ファンだったことから「大河ドラマかっこいいな」「いつか僕が出てる大河ドラマをおじいちゃんに見て欲しいな」という気持ちが自然と芽生えたそう。「実は小学生の頃に、子役として4作品くらい大河ドラマのオーディションに挑戦したことがあったんです。しかし、自分で言うのも変ですが、当時から日本人離れした顔立ちをしていたため、時代的にも時代劇にも合わないと言われなかなか役に恵まれなかったんです。ですが時代が周り、この顔でも大河ドラマに出られるようになりました!笑 昔挑戦した経験があるからこそ、こうして大人になって出演できることが本当に嬉しいです」と念願かなっての大河出演についての思いを明かす。
「どうする家康」で渡辺守綱が初登場した際には、家康との会話が話題に。一向宗の宗徒が集う本證寺に、百姓に化けて潜入した家康に対し「汚ねえ連中だな。そんなツラじゃ女にモテんぞ。顔ぐらい洗え、あほたあけ!」と豪快に絡むさまが、木村が声優を務める「ドラえもん」のジャイアンそっくりだという声が多く上がり、ジャイアンのワードがTwitter上位にトレンド入りした。
木村は守綱の役づくりについて「槍の名手であったということで、豪快な立ち回りも見どころです。そして、性格としては『おおらか・女好きの一面もある・我が道を行くタイプ』だと最初に伺いました。それを聞いてぱっと浮かんだのは、僕がずっと演じてきた、あの“ガキ大将”でした。豪快で自由奔放だけど、ここぞという時はすごく優しくて頼りになる。そうした部分が重なり、役のイメージは“ガキ大将”とも照らし合わせながら膨らませました」と語り、オリジナリティーにもこだわりを見せる。
「渡辺守綱を演じるにあたっては、オリジナリティーを出したいという思いもあり、あえて戦国時代っぽくないキャラクター作りをしようと努めています。もちろん考証の先生方がいらっしゃるので、所作から言葉遣いまで細かくご指導くださっています。でも、少しだけその枠を超えてみよう! という試みをしているところです。『どうする家康』という作品の中で、やや異色というか、視聴者の皆さんの想像をほんの少しだけ超えられるような役作りを頑張ってみたいと思っています」
本證寺・寺内町で印象に残っている場面として「南無阿弥陀仏……とお経を唱えながら、皆で大盛り上がりし踊るシーン」を挙げる木村。多くの人が踊る中、守綱が周りにいる女性たちを集めて「一緒に踊ろう」と手を取るシーンでは、守綱らしさを意識したという。
「考証の先生のお話では、人前で男性に手を握られることは、当時の女性にとって恥ずかしいこと。更に、手を引かれて腕が出てしまうと、それはより一層恥ずかしいことだったのだそうです。しかし、守綱の性格を考えると、きっとテンションが上がると身体が勝手に動いて、気が付いたら女性の手を掴んで一緒に踊ってしまう勢いがあるのではないかなと。なんせ豪快な男ですから。笑 そうしているうちに女性の側も恥ずかしいなんて気持ちは吹き飛んでいき、楽しい雰囲気で一緒に踊り出す……という。守綱らしさを出しつつ、シーン全体の空気をつくっていけたらと思いながら演じましたので、注目していただければ幸いです!」と意図を語っている。(編集部・石井百合子)