「真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-」山田胡瓜＆藤村緋二が語る映画との連動
映画『シン・仮面ライダー』に登場する秘密結社SHOCKERを描く「真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-」の漫画脚本を担当する山田胡瓜と、作画を務める藤村緋二がインタビューに応じ、作中に登場するSHOCKER上級構成員の描き方や、今後の展開について語った。（以下、映画の内容に一部触れています）（取材・文：編集部・倉本拓弥）
週刊ヤングジャンプ（集英社）で連載中の本作は、人類の幸福を実現する愛の秘密結社SHOCKER（Sustainable Happiness Organization with Computational Knowledge Embedded Remodeling）に迎え入れられた少年・緑川イチローの運命を描く完全オリジナルストーリー。
SHOCKER上級構成員の物語は、個人の絶望から始まる
Q：イチローと行動を共にするクモオーグの描き方は、どのように固まっていったのでしょうか？
山田胡瓜（以下、山田）：SHOCKER上級構成員の物語は、個人の絶望から始まっています。僕は映画製作時に庵野（秀明）さんの脚本を拝見しながら、オーグ達にも絶望の理由があるはずだと思い、自分なりに彼らの過去を考えて、時には庵野さんに感想として伝えたりしていました。漫画でSHOCKERサイドの話を描くことになったので、改めて「こういう過去はどうですか？」と映画製作陣に自分のアイデアを提案して、ストーリーを膨らませていきました。
彼の紳士的な態度は、映画の設定を反映しています。個人的にはとても気に入っているキャラクターで、ラッシュを見た時も丁寧な態度がキャラクターとして立っていると感じ、その雰囲気を漫画でも効果的に演出できればと考えています。
サソリは最もプレッシャーを感じるキャラクター
Q：クモオーグと共にイチローの支えとなるサソリは、初登場時から読者の間で話題になっているキャラクターです。キャラクター設定や作画でこだわっていることはありますか？
山田：サソリも、映画の設定をそのまま取り入れました。ストーリーを展開するにあたって、女性キャラクターがほしいと思っていたんです。イチローを一人前のSHOCKER構成員にするためには、誰かの協力が必要なはずで、クモオーグと並ぶ紅一点の構成員でバランスをとりたいという話になり、サソリが選ばれました。映画でもかなりはじけているので、漫画でも同様にやりましょうと、あの設定になりました。
藤村緋二（以下、藤村）：サソリは、作中のキャラクターで最もプレッシャーを感じながら描いています。もともと女の子を描くことに苦手意識があり、さらにサソリを可愛らしく描かなければいけないというプレッシャーが毎話あるんです。クモとの柔道のシーンは、感情を三つぐらい入れようと思い、あえて誇張した表現を採用しました。今回の作品に関しては、読者の方には画のことを気にすることなく作品に没頭してほしい。と思っていて、「画が下手」と思われるのは当然駄目だけど、極論言うと「画が上手い」と思わせてしまうことも邪魔なのかな……となるべく自然な状態で読者に物語が伝えられる様に考えながら描いています。誇張表現が好きな人間なので、映画の雰囲気を漫画表現で崩すことがないよう、常に意識しています。
山田：第一話の深刻な展開から、サソリの衝撃的な表情が登場したので「やってよかったのかな？」と今でも心配になります（笑）。
藤村：僕の中では、いい表情のサソリが描けたと手応えを感じています。第2話は描いていてすごく楽しかったので、「山田さんありがとうございます！」と感謝の気持ちでいっぱいです。
「真の安らぎはこの世になく」今後はどうなる？
Q：「真の安らぎはこの世になく」の今後の展開について、言える範囲で注目ポイントを教えてください。
山田：最終的に、映画へとつながっていきます。そこに至るまでに、イチロー、クモオーグ、サソリオーグにもドラマがあります。読者のみなさんには、ぜひ一緒になってドラマを体験していただき、その上で、彼らが映画でどんな運命を歩むのか、想いを巡らせていただけると、映画や本作の楽しみが増すと思います。また、ヤングジャンプで連載している他の作品と同じく、一本の漫画として面白いものを目指しているので、毎週読む楽しさを味わっていただきたいです。
藤村：山田さんが今後どんなストーリーを展開するのか、僕も読者と同じ立場で楽しみにしています。恐らく、イチローはこれからもっと悲しみや絶望を味わいながら、生きていくことになります。彼の等身大の感情が、読者にきちんと届くように描くことを意識して、今後も挑戦していくので、毎週楽しみながら読んでいただきたいです。
映画『シン・仮面ライダー』は全国公開中
「真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-」は週刊ヤングジャンプで連載中、コミックス第1巻は発売中