ブレンダン・フレイザーが来日!『ハムナプトラ3』で共演ミシェル・ヨーとのオスカー受賞に感慨
第95回アカデミー賞主演男優賞を受賞した俳優のブレンダン・フレイザーが6日、六本木のザ・リッツ・カールトン東京で行われた映画『ザ・ホエール』来日記者会見に出席、かつて『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』で共演し、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で同主演女優賞を獲得したミシェル・ヨーへの思いをせつせつと語るひと幕があった。
【画像】『ハムナプトラ』ブレンダン・フレイザーがオスカー引っ提げ来日!
『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキー監督が、劇作家サミュエル・D・ハンターによる舞台劇を映画化した本作は、同性の恋人に先立たれてから過食状態になり、極度の肥満体となった主人公チャーリー(ブレンダン)が、自らの死期を悟り、疎遠になっていた娘との絆を取り戻そうと試みる姿を描く。ブレンダンは毎回4時間かけた特殊メイクで体重272キロのチャーリーになりきり、自身初となるアカデミー賞主演男優賞に輝いた。
2008年の『ハムナプトラ3』以来、約15年ぶりの来日。4日の夕方に日本に到着したというブレンダンは「15年ぶりに日本に戻ってこられてうれしいよ!」と切り出すと「昨日は少し時間があったので、街を見てまわり、しゃぶしゃぶを食べました。今日は『ザ・ホエール』の話をするのを楽しみにしてました」とあいさつ。さらに「これから作品が公開されること、皆さんが新しい観客になってくれることにワクワクしています。この作品は希望の物語です。主人公の男性はダークな場所にいますが、光に向かって歩くことができるんです」と付け加えた。
アカデミー賞を獲得したことについて「実は、いまだに驚き続けています」と語るブレンダンは、「ああいう形で大きなことを達成したことは光栄でした、ただ、主演男優賞にノミネートされた人たちは本当にすばらしい才能の持ち主ばかりだったので、ある意味、みんなとオスカー像を分かち合ったという気持ちです」と振り返った。
また、『ブラック・スワン』『レスラー』のアロノフスキー監督とのタッグについては「本当に光栄だった。彼は本当に動じることがない人ですし、監督としてもスクリーンに映るものから絶対に目を背けない。非常に勇敢で怖いものがない人だ。俳優であれば、あれだけのレベルの才能を持つ監督と仕事をしたいと思うものだ」とコメントしつつも、「ただしクリエイティブの面では、最初に会った時に少し脅威を感じました。彼は紳士ですが、どのキャストにも要求するものが高い。だから僕もひとりの人間として、役者として、持てるものすべてをキャラクターにつぎ込みましたし、リスクを背負って自分のもろさを表現した。ここまで自分のもろさを表現したことは役者としてなかった。監督と一緒にこの道のりを旅できて、人生が変わったと思います」と振り返った。
また本作について、ブレンダンが過去に出演した『ゴッド・アンド・モンスター』(1998)との共通点を指摘する声も。同作で共演したイアン・マッケランからは「役者の仕事というのは、初めて演技をするように、そして最後の演技であるかのようにのぞまないといけない」というアドバイスをもらったといい「『ゴッド・アンド・モンスター』や『ザ・ホエール』のような思慮深い作品を作っている時はまさにそうだ」と振り返る。そんなイアンとは、アカデミー賞授賞式の3週間前にロンドンで行われたイベントで再会。「彼とは本当に仲のいい友人で、いろいろな話をしたんだけど、なぜか『ザ・ホエール』の話だけはしなかったんです。でも別れる際に、イアンさんが僕の耳元で囁(ささや)いたんです。『もう君はオスカーをとっているよ』と。だからもしあの黄色い(オスカー)像が自分のもとに来なかったとしても、自分にはオスカーが来たと思えたんだろうなと思います」と名優とのエピソードを明かした。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で主演女優賞を獲得したミシェル・ヨーとは『ハムナプトラ3』で共演し、ともに来日した縁もある。「彼女は本当に仲のいい友人なんだけど、ああいう形で再会できてうれしかった」と語るブレンダンは、「才能あふれるすてきな女性であり、ものすごい勇気の持ち主でもある。皆さんご存じのように、この業界は女性というのをひとつのカテゴリーにはめてしまいがちで、こういう役しかできないと言いがちだが、そんな業界に立ち向かい、女性はそれに甘んじるべきではないと宣言できる人。それがミッシェル・ヨーさんなんです。まるで武器の鋒(きっさき)のように道を切り開く彼女に、僕は敬意を評しています」と最大限のリスペクトを表明した。
さらに、同作で助演男優賞を獲得したキー・ホイ・クァンとも以前からの友人だったというブレンダンは「彼とは30年ぶりに会ったんだけど、思わず『僕らここにいるね!』と言ってしまいました」と感激の表情で振り返っていた。(取材・文:壬生智裕)
映画『ザ・ホエール』は4月7日より全国公開