竹中直人、自分の声が怖かった 『アベンジャーズ』ニック・フューリー吹き替えで得た自信
2012年公開のマーベル映画『アベンジャーズ』から人気キャラクター、ニック・フューリーの吹き替え声優を担当している俳優・竹中直人(67)。声優は昔から憧れていた仕事だというが、竹中は幼少期「自分の声が怖かった」と打ち明ける。自身の過去のエピソードと共に、最新作「シークレット・インベージョン」まで、ニック・フューリーと共に歩んだ11年間を語った。
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低音ボイスのニック・フューリーから、高音かつハイテンションなキャラクターまで自在に演じ分ける竹中。「自分の本当の声は自分では決して分からない。自分の耳に聞こえる声とは確実に違います」と切り出すと、かつて自分の声がコンプレックスだったと打ち明ける。
「ぼくは声変わりが早かったので、昔は自分の声に対するコンプレックスがすごく強かったです。声変わりしたのは小学校5年生の頃。もう自分の声が気持ち悪くて怖かった。でも、声優はものすごく憧れていた仕事。自分の声が苦手だったからいろいろな声を出せるようになりたいというのは昔からの夢でした」
アベンジャーズの創設者であるニック・フューリーの吹き替え声優に抜てきされた竹中は、世界中で熱狂的な支持を獲得するマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品で10年以上も同じキャラクターを担当。世間では「ニック・フューリー=竹中直人」というイメージも定着し、自分の声に対する反響も多く受け取るなど、声優としての自信につながった。
「最近、街を歩いていたら、男の子に『ニックの声やってください』と声をかけられました。ぼくが『ニック・フューリーだ』と応えると、とても喜んでくれた。ぼくも高校生の頃、高校の先輩だった古谷徹さんに『巨人の星』の星飛雄馬の声をお願いしたら、『父ちゃん!』と返してくれた。そんな思い出もあったので、その男の子がぼくの声で喜んでくれたのはとても嬉しかったです」
竹中は現在、ディズニープラスで配信中の新作ドラマシリーズ「シークレット・インベージョン」に吹き替え声優として参加している。ニック・フューリーが主役の同作は、地球に帰還したフューリーが、あらゆる人間に擬態できるスクラル人が企てる地球侵略計画“シークレット・インベージョン”を阻止すべく戦うサスペンス・スリラーだ。
「声優は演じているキャラクターの人生を疑似体験できる」と語る竹中は、「本作のニック・フューリーは、過去作とは全く違います。トレードマークのロングコートもアイパッチもなく、最初は戸惑いました」と告白。ヒーロー然としたフューリーから、人間としての弱さなどが垣間見えたことで「彼の呼吸をより深く感じ取ることも出来ました。そして新たなフューリーをより知ることも出来ました」と手応えを感じたという。
「フューリーの人生を疑似体験しているので、演じていて苦しい時もあるし、ワクワクする瞬間もあった。『シークレット・インベージョン』は先の展開が読めず、誰が裏切るのか、何を信じていいかもわからない。フューリー役として参加したことで、視聴者よりも贅沢な時間を過ごしているかもしれません」
MCUでは若きヒーローが誕生するなか、ニック・フューリーが創設したアベンジャーズの初期メンバーは、続々とシリーズを卒業している。「誰もが年をとるわけだし、卒業は当たり前のこと。寂しいけれど世代交代……ですかね」と述べた竹中だが、「でもニック・フューリーは今後も残ってくれるような気がします」とも。「これからもフューリーと共に歩み続けられたら良いですね」とさらなる再演に期待を寄せた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
「シークレット・インベージョン」ディズニープラスにて独占配信中