アバレキラーが味方でよかった 「アバレンジャー」田中幸太朗、20周年で向き合った仲代壬琴の復活
スーパー戦隊シリーズ第27弾「爆竜戦隊アバレンジャー」(2003~2004)でアバレキラー/仲代壬琴を演じた田中幸太朗がインタビューに応じ、20年ぶりとなる新作Vシネクスト『爆竜戦隊アバレンジャー20th 許されざるアバレ』で描かれるアバレキラー復活や、テレビシリーズ撮影当時の思い出を語った。(以下、テレビシリーズのネタバレを含みます)
【動画】アバレキラー・仲代先生の復活、田中幸太朗はどう思った?
テレビシリーズ第18話「誰だ?アバレキラーだ!」で本格登場した仲代壬琴は、14歳でアメリカの医師免許を取得した天才外科医で、“ときめき”を手にいれるためなら手段もいとわない。アバレキラーの力を手にすると、戦いをゲーム感覚で楽しむようになり、侵略者エヴォリアンに立ち向かうアバレンジャーと何度も対峙した。
“仲代先生”の愛称で親しまれているキャラクターについて、田中は「当時のプロデューサーからはニヒルでクールなキャラクターと言われました」と20年前を振り返る。「アバレンジャーとエヴォリアンが戦っていて、エヴォリアンが劣勢だと、仲代にとっては面白くない。単純に、どちら側についたらゲームとして面白いかという純粋さを、一つのキャラクター性として持って演じていけば大丈夫だろうと、当時はずっと思っていました」
一時はエヴォリアンのボスの座を手にした仲代だったが、自分が利用されていた事実を知り、テレビシリーズ終盤ではアバレンジャーと共闘するようになる。今では5人揃ってこそアバレンジャーだが、「当時は、あえて仲間にならないでほしかったんです」と田中は打ち明ける。
「仲代はずっと敵のままだったので、それなら振り切って、最後まで味方にならないスーパー戦隊でいようという気持ちを当時は作っていました。アバレキラーが仲間になると聞いた瞬間も、最初は少しショックでした。でも、大人になってからは『仲間になって本当によかった』と思うようになりました。その方が、子供たちも嬉しかっただろうし、敵でありたいことは、仲代の目線でしか考えていなかったからだと思います」
仲代は第48話「ファイナルアバレゲーム」で瀕死の状態になり、パートナー爆竜トップゲイラーによって宇宙空間へと運ばれ、最期を迎えた。「改めて振り返ると本当にいいシーンです。トップゲイラーと僕の関係性が一番わかる瞬間。トップゲイラーは仲代が楽しいことを仕掛けそうだから、行動を共にしていただけで、一緒に戦っていくうちに、どんどん仲代に愛着がわいてきて、最後で完全に仲間になっていることがわかります。男の友情じゃないですが、感動的な最期です」
あれから20年。完全新作となる『許されざるアバレ』では、エヴォリアンの残党・アバレンゲッコーによって、アバレンジャーと共闘した日々の記憶を消された状態で復活を果たす。正統続編での復活にあたり、田中は「最初に相談を受けたのですが、生き返らせることはかなり難しいことなんです」と納得できる復活方法を模索することに苦労していたという。
テレビシリーズ出演時は20代だった田中も、40代になった。年を重ねて演じた仲代は「当時よりも人間味がある」と語ると、「今回は仲代らしからぬセリフも結構ありますが、それもいいことです。物語として成立しているし、当時よりも丸くなっている気がしました」
今回もアバレンジャーの難敵として立ちはだかる仲代壬琴。「アバレキラーは敵であることが美しい」と田中は語ると、「今後また演じる機会があれば、(アバレンジャーの)敵でいたいです。ずっと味方というよりかは、導入部分だけでも敵でありたい。その方がより映えるかなと思います(笑)」と早くも再復活に向けて自信満々な様子だった。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
Vシネクスト『爆竜戦隊アバレンジャー20th 許されざるアバレ』は9月1日より新宿バルト9ほかで期間限定上映、Blu-ray&DVDは2024年3月27日発売