『ボヘミアン・ラプソディ』ロジャー俳優、恋した相手はドラァグクイーンだった…新作がお披露目
第48回トロント国際映画祭
『ボヘミアン・ラプソディ』のロジャー・テイラー役で知られるベン・ハーディが主演を務めた映画『ユニコーンズ(原題) / Unicorns』が現地時間8日、第48回トロント国際映画祭でワールドプレミア上映された。
ベンが演じたのは、イギリスのシングルファーザー・ルーク。初めて訪れたナイトクラブでセクシー踊る魅力的なアイシャ(新人のジェイソン・パテル)に出会い、すぐに恋に落ちてキスをするが、アイシャはルークが思ったようなシスジェンダーの女性ではなく、ゲイのドラァグクイーンだった。逃げるようにその場を後にしたルークだが、アイシャは彼にドライバーの仕事を持ち掛け、息子のために臨時収入が必要だった彼はそれを受け入れることにする。
メガホンを取ったのは俳優のジェームズ・クリシュナ・フロイドと、『スイマーズ:希望を託して』のサリー・エル・ホサイニだ。インド人とイングランド人の血を引くフロイド監督は上映後のQ&Aで7年前、イギリス初のムスリムのドラァグクイーンに出会ったことが本作の出発点になったと明かす。
「社会は常に人をカテゴリーに当てはめようとしてくるけれど、僕にとってセクシャリティや人種、アイデンティティは、流動的で混乱しがちなものだと思っていた。それを映画に取り入れたかったんだ。やろうとしたのは説教することなく、ただ質問を提示すること。特にロマンスにおいて、そうしたカテゴリーはそんなに重要なものなのか? 僕たちは恋に落ちる相手を選べないわけだから」
アイシャを巡業先に送る夜のドライブを重ねるにつれて、ルークとアイシャは少しずつ距離を縮めていくことになる。監督たちは一度ケミストリーのテストをしてベンとジェイソンの相性が抜群だと知るや、それをそのままカメラに収めるべく、彼らに撮影まで会ったり話したりすることを禁じたのだという。
ベンは「『話してはいけない』と言われたもんだから、ジェイソンはまさにユニコーン(幻の動物)みたいな感じだったよ」と本作のタイトルにかけて笑う。「ケミストリーはごまかせない。どの作品とは言わないけど、前に(その相手との間にケミストリーがないから)頑張って作り出そうとしたことがある。でも、なければ、スクリーンにはそれが映ってしまうんだ。僕たちが恋してる、って言ってるわけじゃないけど(笑)」とジェイソンの方を向くと、ジェイソンは「なんで~?(笑) 恋してるじゃん」とかわいらしく応じ、ステージ上でも相性の良さを見せていた。(編集部・市川遥)
第48回トロント国際映画祭は現地時間9月17日まで開催