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力士俳優『ジョン・ウィック』キアヌ&真田広之に学んだプロの姿勢「吠える必要はない」

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』に参戦した田代良徳
『ジョン・ウィック:コンセクエンス』に参戦した田代良徳

 キアヌ・リーヴス主演の人気アクションシリーズ第4弾『ジョン・ウィック:コンセクエンス』に出演した、元力士で俳優の田代良徳(たしろ よしのり)が、ハリウッド映画の撮影現場で目の当たりしたスターたちから学んだ、プロとしての姿勢を語った。

真田広之vsドニー・イェン、二大スターが大阪で刀バトル!『ジョン・ウィック:コンセクエンス』本編映像

 田代は現役時代、東桜山(とうおうやま)の名で大相撲力士として活躍。2007年九月場所で引退した後、タレント活動にシフトし、インド映画『スモウ(英題) / Sumo』や中国映画『唐人街探偵 東京MISSION』に出演した。『ジョン・ウィック』には、キャスティング担当からInstagramのDMが届いたことをきっかけに出演が決まったという。

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 田代が演じたのは、真田広之ふんする大阪・コンチネンタルホテルの支配人・シマヅの護衛。2021年にドイツに渡り、約5週間にわたって、キアヌや真田たちと共にトレーニングを積んで撮影に挑んだ。世界から一流のアクションチームが集合した撮影現場を、田代は「あんなにすごいアクションがある現場なのに、誰も声を荒げたりする人がいないんです。日本の現場では怒号が飛ぶこともけっこうありますけど、本当にそういうことがなくて、穏やかな人たちばかりでしたね」と振り返る。

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』の田代良徳(R), TM & (C) 2023 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

 「僕は初めて出演したのがインド映画で、何百人もスタッフが動いている現場に『映画ってすごいんだな』と思いました。ただ、次に中国映画に出たらもっとすごかった。機材もハイテクでさらにすごい数の人が働いていて、やっぱ規模が全然違うな……と思って、今回ハリウッド映画の現場に行ったら、それが軽々上書きされてしまった。スタッフの数はすごいし、それぞれプロフェッショナルを集めている。全員が一流で、本当にすごかったです」

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 そんななか、日本人チームを率先してまとめたのが真田だったという。「真田さんは、マネージャーや付き人も連れず、ひとりで現場に来て静かに練習や撮影の開始まで待っているんです。それを見ていて不思議な気持ちになったというか(笑)。日本みたくスターに必ず取り巻きがたくさんいる状態が異常なんだろうなって思わされました」

 「稽古の初日、僕が相手を突き飛ばすシーンの練習をしていたら、真田さんから『やっぱり本物は違うね』と声をかけてくださって。それから毎日、トレーニングや撮影でご一緒させていただいてたんですけど、本当に気さくな方で、コーヒーとかケータリングが届くと自らみんなに配ったり、率先して日本のチームをまとめてくださいました」

 主演俳優であるキアヌも、謙虚な姿勢が印象に残っている。「キアヌさんだって、付き人もなしで一人で現場に来ますからね。毎日プロテインやタッパーに入ったブロッコリーとかチキンなんかを、自分で準備して持ってくる。それにスタッフ全員を平等に見ていて、みんなのことをいたわっている。ケータリングまで自費で用意してくれて、よくいい人だって言われていますけど、なおさらそう思えちゃいますよね」

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カッコよすぎる男たち! シマヅ役の真田広之(R), TM & (C) 2023 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

 それでいて、誰よりも激しいトレーニングに挑むのも、その二人だった。「お二人とも常に穏やかなんですけど、トレーニング中はすごくアグレッシブで、もう倒れるんじゃないかって心配になるくらい。失敗して倒れ込んでも、もう一回だ! って。僕なんかはマッサージとかストレッチしながら、まだやっているなーって思って見ているんだけど(笑)、もうすごい息をのんでしまいました。あれだけ才能のある二人が、誰よりも努力してる姿には、本当に魅せられましたね」

 そんな真田へのチャド・スタエルスキ監督の信頼は厚く、大阪・コンチネンタルホテルのシーンの撮影では、日本の描写について積極的に真田と意見を交わしていたという。「真田さんは、劇中の僕らのセリフも一緒に考えて監督に提案してくれて、それが採用されたり、すごく監督からも信用されているんだなと実感しました。あれだけ謙虚でストイックで、監督の意図をくみ取りながら提案をされていて。真田さんの振る舞いを見ていると、世界で活躍されている理由がよくわかります」

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 「ちょっと勘違いして『俺は偉いんだ』みたいな態度を日本の俳優がやっていたら、絶対にハリウッドであんなに呼ばれることはないし、監督に信頼なんてされないですよね。よく『弱い犬ほどよく吠える』といいますが、吠える必要なんてないんだと。謙虚でみんなを盛り上げる真田さんの姿勢はすごく勉強になったし、ああでなくてはいけないんだと、背中で教えてもらった気がします」

(R), TM & (C) 2023 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

 そんなプロフェッショナルの情熱が結集し、2時間49分にわたる、贅沢なノンストップアクションが完成した。田代は「僕の場合だけでも、予定されていたけど映画に反映できなかったアクションシーンがけっこうあるので、他の方の分も入れると、もっと(入らなかったシーンが)あるんじゃないですかね。スタエルスキ監督も、とにかく削って削って2時間49分だって言ってたので、ぜいたくな映画ですよね」と太鼓判を押す。「上映時間の最後の最後まで面白い要素が詰まってます。もう本当に頭からお尻まで全てに見どころが詰まっている映画なので、ぜひ映画館で、最後まで席を立たずに観てもらいたいです」(編集部・入倉功一)

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