ケネス・ブラナーも絶賛!『ジョーカー』作曲家が挑んだ異色オファーとは?
名優ケネス・ブラナーが監督・製作・主演を務め、作家アガサ・クリスティーの人気ミステリー小説を実写化した映画シリーズ最新作『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』(公開中)で、初タッグを組んだ作曲家ヒルドゥル・グーナドッティルが、ケネスからの異色オファーについて明かした。
ヒルドゥルは、ホアキン・フェニックス主演の『ジョーカー』でアカデミー賞作曲賞を受賞し、続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(原題) / Joker: Folie a Deux』や、ケイト・ブランシェット主演の『TAR/ター』でも音楽を担当するなど、現代音楽の最前線で活躍する作曲家。『ジョーカー』ではスランプに陥っていたホアキンが、ヒルドゥルの楽曲を聴いた途端、キャラクターを掴めるようになり絶賛したというエピソードもあるほどだ。
『名探偵ポアロ』では、ミステリアスで恐怖に満ちた楽曲で作品を彩ったヒルドゥルだが、ケネスからは「“闇”を持ち込んでほしい」という異色のオファーされたそうで、「ケネスは、過去2作とは少し違うことをやりたいと強く望んでいました」と明かす。また、「ファンとして、私はこの作品に参加することをとても楽しみにしていました。アガサ・クリスティーが作り上げた形式に忠実でありながら、少しダークでムーディーで、それでいてとてもクラシカルなスコアを作るのが楽しかったです」と語り、クリスティーファンとして彼女の作風を重んじつつ、ケネスの要望にも応えていったと説明した。
ケネスは、そんな彼女の起用理由を「映画のストーリーを通じてポアロの心情、そして屋敷にいる人々の心情をも表す音楽を求めていて、彼女は見事に提供してくれたのです」と解説。さらに、「それは、本作のストーリーの中で描かれる不安感や緊張、答えの出ていない疑問などを反映した雰囲気や感情がこもった音楽です。物語が展開していく上で、彼女のような優れた音楽家がそれに自然に反応して曲を作り出していくのを見るのは、とても興味深いことでしたよ」と大絶賛した。
『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』は、ミステリアスで美しい水上の迷宮都市ベネチアを舞台に、世界一の名探偵ポアロが人間には不可能な殺人事件の謎に挑む。主演のケネス、霊能者レイノルズ役のミシェル・ヨーのほか、ティナ・フェイ、ケリー・ライリー、ジェイミー・ドーナンらが共演に名を連ねる。(高橋理久)