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『ゴジラ-1.0』ゴジラの鳴き声、巨大スタジアムで分散収録 山崎貴&井上奈津子が音響裏話

第36回東京国際映画祭

『ゴジラ-1.0』Dolby Cinema 版の魅力とは?
『ゴジラ-1.0』Dolby Cinema 版の魅力とは?

 映画『ゴジラ-1.0』トークセッション「Dolby Cinema/Dolby Atmos 版の制作について」と題した特別取材会が31日、第36回東京国際映画祭内にて行われ、山崎貴(監督・脚本・VFX)と井上奈津子(音響効果)が出席。Dolby Cinema 版の製作を初めて体験した山崎監督が、その裏話を語った。

【動画】戦後日本を破壊するゴジラ…『ゴジラ-1.0』予告編

 ゴジラ70周年を記念して製作された『ゴジラ-1.0』は、戦後日本に出現したゴジラが戦争の惨禍を生き抜いた主人公・敷島浩一(神木隆之介)らに襲い掛かる東宝ゴジラシリーズ第30弾。

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 Dolby Cinema 版の製作は「本当に念願だった」と興奮気味に語る山崎監督。IMAXをはじめとしたプレミアムシアターに対応するフォーマットはすべて対応させるという意気込みの中で、「Dolby Cinema 版は必須だった」という。

 最新鋭のシステムにより、広色域で鮮明な色彩と幅広いコントラストを表現するハイダイナミックレンジ(HDR)映像を実現している Dolby Cinema は、暗闇に溶け込むようなくっきりとした黒の描写が特徴的だ。「スクリーンの向こうに普通の世界が見えて、一体感を得られるんです。僕はこの映画で“ゴジラの怖さ”を表現したかったので、ゴジラが現実的に見えれば見えるほど、そこに本物のゴジラがいるんじゃないかと錯覚してしまう。そうしたリアリティーを出せるのが Dolby Cinema じゃないかな」と語る山崎監督は、「だからこのタイミングで Dolby Cinema という技術を使うことができたのは良かったのかもしれない。『きれいだね』『世界が広がっているね』ということよりも、『怖い』ということを増幅させてくれるから」と手応えを明かした。

「Dolby Cinema 版は必須だった」と語る山崎貴監督

 一方で「セリフと音楽以外はすべて担当した」と語る井上は、Dolby Cinema の音響である Dolby Atmos のミックスをしてみて「最初にスタジオで音を聞いたときに、すでにそれより先に(8つのスピーカーで臨場感あふれる音響を実現する)7.1chを経験していたので、そんなに変わらないのではないかと思っていたんですが、Atmosを聞いてみて全然違う世界があった。音が縦に移動させるために(頭上にスピーカーを配置する)トップスピーカーを置くことで、空間の抜けは言葉では言い表せないほどになり、感動しました」と述懐する。

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 本作の Dolby Atmos 版を製作するにあたり、Dolby Atmos 版オリジナルのミックスを施したという。「最初に監督とプロデューサーに見ていただいた時は『あれ、こんなもの?』という感じになって。わたしたち音響チームは7.1ch版に囚われていて、そのバランスを崩してはならない。ここからAtmosのいいところを足すという方針で作業をしていたんですが、監督は『AtmosはAtmosだからいっちゃいなよ。いけいけ』と言ってくれたので。そこからはより体感型で、アトラクション的なAtmosならではの楽しさを追求した。本当に Dolby Cinema オリジナルのバランスになっています」と明かす。

 すると山崎監督も、「せっかくなので、エグいくらいのAtmos感を感じてほしかった。攻めたAtmos感というか、ものすごいスペクタクルで、ドッカンドッカンと。ゴジラがどんどん破壊している大変なところに、お客さまが放り出されたということを目指しているので」と補足。さらに「やはり Dolby Cinema というのは通常よりも高いお金を払って観に来てもらうわけですから、それだけのものをお返ししなくては」と付け加えた。

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音響・音楽に並々ならぬこだわり - 音響効果を担当した井上奈津子

 劇伴音楽を演奏・収録する際にも、Atmos版を意識して頭上にもマイクを仕込んだとのことで、通常の作業よりも大変だったというが、そこは「ゴジラですから」というスタッフの熱い思いとともに、こだわりの音響・音楽をつくりあげたという。さらにゴジラの鳴き声に迫力を付け加えるために、広大で開放的な空間が広がるZOZOマリンスタジアムでゴジラの鳴き声を鳴り響かせ、それを大勢の録音技師たちが集まり、各所に分散して収録した話など、興味深い話が続々と。それを踏まえて井上も「Atmosは本当に無限の可能性がある。この作品のためだけに音をデザインし、構築していったので。それを劇場で体感してほしい。そしてできるなら、7.1ch版など、ほかのフォーマットとの違いを体験していただきたいですね」とメッセージを送った。(取材・文:壬生智裕)

『ゴジラ-1.0』は11月3日より全国公開

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