ザック・スナイダー監督、DCEUで学んだこと 『REBEL MOON』で構築する新たなユニバース
DC映画『マン・オブ・スティール』(2013)から始まったDCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)の仕掛け人としても知られるザック・スナイダー監督が、Netflix映画『REBEL MOON - パート1:炎の子』を引っ提げ来日インタビューに応じ、DCEU時代の経験を振り返りながら、新たなユニバースの構築について語った。
【動画】『REBEL MOON - パート1:炎の子』予告編
『REBEL MOON - パート1:炎の子』は、黒澤明監督の名作『七人の侍』から影響を受けたスナイダー監督が、20年以上の構想期間を経て製作した2部作のSFスペクタクル。巨大帝国“マザーワールド”が支配する銀河を舞台に、心優しい戦士が結成する反乱者集団〈チーム・レベルズ〉の戦いを描く。もともとは、スナイダー監督が『スター・ウォーズ』の新作映画として構想していた企画だ。
スナイダー監督は、『ジャスティス・リーグ』(2017)を途中で降板するまでDCEUの拡張に励んできた。「DCに携わって学んだことの一つは、キャラクターや世界観、正史(=カノン)が緻密に存在していて、キャラクターにさせられないことが、ルール上決まっているんです」とDC時代の経験をもとにユニバース構築の難しさを語る。
「それらは、DCのファンダムにおいて、キャラクターの見方として反映されてしまっている。そこから外れてしまうと、いろいろと問題が起きてしまうんです。ですが、『REBEL MOON』のようなオリジナル作品は、1から世界観を構築していくので、大変ではありますが戦う相手は自分自身です。そういった意味で、より楽しい挑戦になりました」
スナイダー監督とNetflixは、ゾンビ映画『アーミー・オブ・ザ・デッド』でタッグを組んでおり、前日譚映画『アーミー・オブ・シーブズ』(Netflixで独占配信中)や制作途中のアニメシリーズなど、スピンオフを通してユニバースを拡大している。
以前『アーミー・オブ・ザ・デッド』と『REBEL MOON』は同一世界観にあると Total Film のインタビューで語っていたスナイダー監督。クロスオーバーについて改めて聞いてみると、「世界線的にはつながっているかもしれません。ただ、キャラクター同士が直接出会うのは、自分たちにアイデアが全くなくなった時にやることです」と補足する。
「『アーミー・オブ・ザ・デッド』で描いたゾンビの世界は大好きなので、そっちもシリーズとして残していきたい。前日譚アニメは一旦止まっていてまだ動かしきれてないのですが、それを見ると、前にどんなことが起きたのかがわかるようになっています」とまずはそれぞれのユニバースを拡げていく姿勢を見せた。
来年4月には、パート2『傷跡を刻む者』の配信も控えている本作。スナイダー監督が『七人の侍』を観て影響を受けたように、次世代の子供たちが将来的に『REBEL MOON』から刺激を受ける日が来るかもしれない。「今まで自分の美的感覚に影響を与えてきたさまざまな作品を全部持ち込んで、それを凝縮して一つの映画にした」というスナイダー監督は、「10歳~13歳のような感受性豊かな子供たちがこの映画を観た時、自分が当時そうであったように、彼らにインパクトを与えるのかを見てみたかった気持ちがあります。作品から何かを感じて、引き継いでいってくれたら嬉しいです」と力を込めた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
『REBEL MOON - パート1:炎の子』Netflixで独占配信中