ロバート・ダウニー・Jr、『オッペンハイマー』役づくりで額を剃り上げる
クリストファー・ノーラン監督作『オッペンハイマー』でアメリカ原子力委員会の委員長にしてアメリカ海軍少将のルイス・ストローズを演じたロバート・ダウニー・Jrが、役づくりについて語った。ダウニー・Jrはその演技で第96回アカデミー賞助演男優賞ノミネートを果たしている。
第96回アカデミー賞で作品賞、監督賞など最多13部門にノミネートされた本作は、“原爆の父”と呼ばれる米物理学者ロバート・オッペンハイマーを題材にした人間ドラマ。原子爆弾の開発・製造を目的とした「マンハッタン計画」の最高責任者である陸軍のレズリー・クローヴス(マット・デイモン)から極秘プロジェクトへの参加を打診され、その研究施設であるロスアラモス国立研究所の所長を務めたオッペンハイマー(キリアン・マーフィ)だが、計画の遂行後に原爆投下による惨状を知り、その破壊力に対して苦悩することになる。
ダウニー・Jrが演じたルイス・ストローズは、オッペンハイマーをプリンストン高等学術研究所の所長に抜てきし、その後原子力委員会にも迎え入れた人物。頑固で野心に満ちており、やがて水爆実験をめぐってオッペンハイマーと対立を深めていくことになる。ノーラン監督はオッペンハイマーの主観をカラーの映像で、ストローズを軸に描かれるシーンをモノクロで撮影している。
そんな重要な役を託されたダウニー・Jrは、脚本を読み、「クリストファー・ノーランがやってきたことはすべてこの作品への序曲だ」と感じたとのこと。南部出身で高卒というコンプレックスを抱えた野心家で、強固な反共主義者であるストローズの経歴を徹底的にリサーチして役づくりを進めていった。
そしてそのビジュアルにもたじろぐことなく向き合った。ダウニー・Jrは「面白いことに、額を剃り上げると父親のことを思い出した。妻からすれば、僕の未来の予想図ってわけだ。でもこれはキャラクターを演じるに必要なことだった」と振り返っている。(編集部・市川遥)
映画『オッペンハイマー』は3月29日より全国公開