『FNAF』実写化はファンファースト徹底!現代ホラーの名手に聞く「いい映画」の定義
上質な低予算ホラーを連発するブラムハウス・プロダクションのCEOで、現代ホラーの名手として知られるジェイソン・ブラムが来日インタビューに応じ、プロデューサーを務めた新作映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』(公開中)の製作秘話や、映画製作の極意について語った。
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ブラムハウスは、2007年に公開されたモキュメンタリーホラー『パラノーマル・アクティビティ』の爆発的ヒットをきっかけに、『ゲット・アウト』 『透明人間』『M3GAN/ミーガン』と低予算ホラーを連発してきた。最新作『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』は、日本でも話題になった同名ホラーゲームを実写化した作品で、日本公開を前に、ブラムハウス製作作品として史上最高の興行成績を樹立した。
ゲームの実写映画化が相次ぐ昨今のハリウッド。ブラムは、あえて主要スタジオとは真逆のアプローチで実写化に挑んだ。「原作があるハリウッドの実写映画は、ストーリーテリングで上手くいかず、興行的に成功しても評価がイマイチなものもある。今回、私たちはゲーム開発者であるスコット・カーソンが語りたいストーリーを構築した。幅広い層に向けるのではなく、『Five Nights at Freddy's』(FNAF)をプレイしたことがあるファンを第一に考えて製作を進めた」
ブラムにとって最大の挑戦は、ゲーム開発者のビジョンをいかにして映画に反映するのかだった。「スコットはフィルムメーカーではない。だからこそ、私たちは8年という時間をかけて、スコットが生み出した原作ゲームの魅力的な面を映画に落とし込んでいった。これが今作の最大の山場だったよ」
ファンファーストで製作された本作は、作品の要となるアニマトロニクスにもこだわった。劇中に登場するフレディ、ボニー、チカ、フォクシーの4体は、「セサミストリート」のパペット制作で有名な「ジム・ヘンソン・クリーチャー・ショップ」が手がけた。
「スコットは、VFXではなくアニマトロニクスで映像化することを強く求めていた。彼らが実際に存在するように見せられるからだ。ロサンゼルスで何度か実際に展示してみたところ、観客の反応もよかった。この決断は正しかったし、スコットに最大限の賛辞を送りたい」
ブラムはインタビュー中、「ブラムハウスは、2025年に8本の“いい映画”を届けるというゴールを掲げている」と明かした。現代ホラーの名手にとって、“いい映画”の定義とは何なのか。
「私にとって、いい映画とは独創的だと感じる作品。今まで観たことがなくて、恐ろしいもの。観客が90分間、現実世界のことを忘れて映画にのめり込み、その世界観に揺さぶられること。それが、私の中の辞書に書いてある定義だ」
最後にブラムは、映画監督を目指す若者へメッセージを残した。「私からのアドバイスは、自分が何に心を動かされたのかを第一に考えることだ。これはホラー映画でなくても当てはまる。何に情熱を感じたのか? それが家族なのか、恋人なのか、それとももっと大きな気候変動といったテーマなのか。そして、そのことについての脚本を書くこと。『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』でもスコットと共にそれを実践した。そうすれば、観客もより共感してくれるはずさ」(取材・文:編集部・倉本拓弥)