性の格差描く漫画「先生の白い嘘」奈緒主演で映画化 安達奈緒子脚本&三木康一郎監督、3面ライブスクリーン上映も決定
鳥飼茜の漫画「先生の白い嘘」が奈緒主演で実写映画化されることが21日、明らかになった。奈緒演じる高校教師が、担任する男子生徒の不倫疑惑事件をきっかけに、自らの性に対する矛盾した感情や男女間に存在する性の格差に向き合うストーリーで、脚本をドラマ「きのう何食べた?」や朝ドラ「おかえりモネ」などの安達奈緒子が、監督を映画『弱虫ペダル』『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』などの三木康一郎が務める。「3面ライブスクリーン」での上映も決定しており、今年7月5日より公開される。
男女間の性の格差を描き、累計発行部数100万部(全8巻)を突破する反響を呼んだ同名漫画に基づく本作。主人公・原美鈴(はら・みすず) を演じるのは、昨年4月期放送の夫婦のセックスレスをテーマにしたドラマ「あなたがしてくれなくても」も話題を呼び、現在、木梨憲武とダブル主演を務めるドラマ「春になったら」が放送中の奈緒。美鈴は、親友の婚約者である男性から強制的な関係を求められながら、彼との行為を通して性への欲望、快楽への渇望が芽生えたことに気づき、矛盾する感情に苦しむ高校教師。平穏を装っていた彼女の日常が、担任を受け持つ男子生徒の不倫疑惑をきっかけに崩れていく。
主演の奈緒は「原作漫画『先生の白い嘘』と出会った時の衝撃を今でも覚えています。埋もれてしまっていた誰かの叫びが自分の耳を突き抜けていくような感覚でした。そして、その誰かの一人である"美鈴"として、この作品と共に苦しみ、この作品と共に闘うことを心に誓い出演をお受けいたしました。社会の中で弱者と強者という構図は、今もなおなかなか無くなりません。いつかそんな言葉さえなくなり一人一人が"自分"を受け入れられる世界を切に願っております」とコメント。
三木監督は自ら原作の映像化を熱望したと言い、「鳥飼先生のこの原作を映像化したいと動き出してから7年以上の月日が流れました。当時は性被害に関してはどこか他人事のような世の中で、映像化したいという思いもなかなか伝わらなかったことを覚えています。男女の性の格差や性被害を描いた原作は、男である私にとって、センセーショナルで、未知のもので、そして、思いもしない感情が渦巻いているものでした。それはとても衝撃的で、より具体的に伝えられたらと映像化に向けて動き出したのです。今までの知識や感情は全て捨てて、原作に向き合い、闘い続け、完成させた7年でした。そんな映画「先生の白い嘘」が皆さんの目にどう映るのか? 正直、不安と期待が渦巻いています」と映画が完成するまでの7年を振り返っている。
なお、3面ライブスクリーン上映では、3つのスクリーンを横長に繋げたワイドな画角やそれぞれのスクリーンに異なる画を映す演出、通常の本編にはない追加カットなど、独自の演出方法によって人々の心情に訴えかける新しい表現の可能性に挑戦した。(編集部・石井百合子)