『君たちはどう生きるか』オスカー受賞会見!鈴木P、アメリカで受け入れられた要因を語る
第96回アカデミー賞
第96回アカデミー賞で長編アニメ映画賞を受賞した『君たちはどう生きるか』。受賞直後にスタジオジブリで会見が行われ、鈴木敏夫プロデューサーが出席。宮崎駿監督の喜びの様子と共に、本作がアメリカで高く評価された要因についてコメントした。
本作は、2002年にアメリカ公開の『千と千尋の神隠し』、2005年アメリカ公開の『ハウルの動く城』、2014年アメリカ公開の『風立ちぬ』に続く4度目のノミネートにして、『千と千尋の神隠し』以来21年ぶり、2度目のオスカー受賞となった。
会見会場に登場した鈴木プロデューサーは開口一番「オスカー像は1個もらえるのですが、お金を出すと作ってもらえるんですよ」と裏話を披露し、「今回3つ注文しました」と報告。受賞の瞬間の宮崎監督について聞かれると、「受賞の少し前までしゃべっていたのですが『日本男児として嬉しい顔はしちゃいけないよ』と言っていたんですよ」と発表の際、宮崎監督は別のアトリエにいたことを明かし、「電話で話をしていたのですが、興奮している様子でした」と喜びが漏れ出ていたようだったと伝えた。
『君たちはどう生きるか』のほか、『マイ・エレメント』『ニモーナ』『ロボット・ドリームズ』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の4作品がノミネートされていた長編アニメ映画賞。受賞の要因について鈴木プロデューサーは「日本のお客さんよりも実はすんなりと受け入れられやすかった気がしています」と語り、「彼(宮崎監督)はある種、旧約聖書の最後の方の内容、宮崎駿の黙示録だと思ったんです。それは映像を観ているとわかるんです」と解説した。
さらに『風立ちぬ』を発表後、引退を撤回して作り上げた作品について鈴木プロデューサーは「引退、復帰とオオカミ少年って呼ばれていますよね」と笑い、「でもいつも『これが最後の作品』と思って作っているんです」と宮崎監督を慮り、「今回は7年間という歳月を要しましたが、その間にいろいろなことが起きました。ちゃんと観客に受け入れられるのだろうかというのは、いつも以上に心配していた。日本での興行が始まったときにも、数字をすごく気にしていました」とこれまでの様子を報告した。
そんな心配をよそに、日本国内にとどまらず世界中でヒットし、大きな評価を受けた本作。鈴木プロデューサーは「(宮崎監督は)ずっと緊張が続いたようだった」と述べ、「心から喜んでいるようでした」と語っていた。
現在の宮崎監督について鈴木プロデューサーは「とても元気ですよ」と報告。「ジブリパークの運営を行っている宮崎吾朗くんの発注でパノラマボックスを描き続けています。その絵を見ていると衰えを知らない感じ。死ぬ最後の日まで衰えないんじゃないかと思う」と思いを述べた。また、新作については「まだ『君たちはどう生きるか』の公開が続いているので、まだ考えられない」と言いつつも「長編を作るのはとても大変。できれば短編をやりませんかと話しているんです」と語っていた。(磯部正和)