Netflix実写版「寄生獣」ハイジはなぜ主人公の“顔の右側”に寄生する?監督が明かす新一&ミギーとの違い
岩明均の人気漫画「寄生獣」に基づくNetflix実写ドラマ「寄生獣 -ザ・グレイ-」のヨン・サンホ監督がリモートインタビューに応じ、主人公に寄生するパラサイト・ハイジの設定について語った。
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原作漫画が「教科書のような存在」と語るサンホ監督が、韓国を舞台に、人間と寄生生物の共存と対立を新たな物語で描く本作。ある事件に巻き込まれ瀕死状態となった主人公チョン・スイン(チョン・ソニ)は、人間の脳を乗っ取り全身を支配するハイジに寄生されるも、ハイジは負傷したスインの治癒に力を使ったことで、彼女の脳の乗っ取りに失敗する。人間でもパラサイトでもない“変種”になったスインは、ハイジとの奇妙な共存関係を築き上げていく。
漫画「寄生獣」の主人公・泉新一は、パラサイト(ミギー)が自身の右腕に寄生する設定だった。一方「寄生獣 -ザ・グレイ-」の場合は、ハイジがスインの顔の右側に寄生するという設定が採用されている。
主人公とパラサイトの設定を考える際、サンホ監督はまず作品が掲げるテーマに注目した。「原作の『寄生獣』における巨大なメッセージというのは、人間と他の生物の共存だと考えています。『寄生獣 -ザ・グレイ-』のテーマとしても、共存というところにフォーカスしました。スインとハイジが1つの体の中で共生する、そして、異なる性格の2人がいかに1つの体の中で共存していくことができるのか、そして互いに理解することができるのかという物語だと考えました。ですから、スインとハイジがどのように共存していけるのか、というところから設定がスタートしています」
スインと新一の決定的な違いは、自身の身体に寄生したパラサイトと直接コミュニケーションが取れるかどうかだという。「新一とミギーの場合、ミギーが新一の右手に寄生していることで、2人は直接会話をすることができるようになっています。しかし、『寄生獣 -ザ・グレイ-』においては、 異なる性格の両者が直接会話できないことによって、お互いを理解していく過程というのが、より劇的な効果を持って描けるのではないかと思いました」
「まず先に浮かんだのが、ジキルとハイドのような2重人格ということにしたらどうだろうか、ということです。原作の方では、新一とミギーの関係において、新一の心臓を治す過程で、ミギーは一定期間眠らなければならないという設定になっています。『寄生獣 -ザ・グレイ-』でもその設定を採用して、スインとハイジの関係においては、ハイジがスインの意識を支配できるのは、1日のうちに15分だけだという設定にしました。そうすることによって、2人の意思疎通はより難しくなりますし、 お互いを理解する過程も難しくなってくる。より効果が高まるだろうということで、顔の右側に寄生する方向になっていきました」
ちなみに、サンホ監督は「寄生獣 -ザ・グレイ-」を制作するにあたって、講談社を訪問し、「寄生獣」の担当者にドラマの構想などを説明していたという。「それを聞いた岩明先生は、意外なことに、このアイデアをとても気に入ってくださったんです。その後、『ヨン・サンホ監督は「寄生獣」のファンだから自由に撮ってほしいと言っていた』という話を聞き、とても感動しました」と笑顔で振り返っていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
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