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北条司『シティーハンター』冴羽リョウ・鈴木亮平に明かすブレイク秘話 コミカル路線がヒット

コミカルな一面も『シティーハンター』の大事な魅力
コミカルな一面も『シティーハンター』の大事な魅力 - (C)北条司/コアミックス 1985

 鈴木亮平主演のNetflix映画『シティーハンター』。特報が流れた際、その完成度の高さにSNS等で大きな話題になった。原作は累計発行部数5,000万部を超える北条司による大人気漫画。フランスでも実写映画化されるなど、世界的にファンが多い作品だが、連載当時はいろいろな悩みがあったという。 原作者の北条が、連載当時のエピソードを鈴木に語った。

ギャップすごい!実写『シティーハンター』鈴木亮平の“おバカっこいい”ビジュアル5点

 本作は、謎の暴力事件が多発している現代の新宿を舞台に、警視庁も事件に手を焼くなか、相棒の槇村秀幸(安藤政信)と共に冴羽リョウ(鈴木)が事件解決に挑む姿が描かれている。捜査の途中、突然起きた事件に巻き込まれ、槇村が世を去ってしまうという、悲しい出来事が作品のトーンをややダークなものにしている。

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 北条は「今回の物語は、連載当初のハードボイルド色の強いときの話。実は自分のなかでは、けっこう納得がいかずに描いていた時期の話なんです。いま皆さんが冴羽リョウに持っている、明るく軽いキャラクターがあまり生かされていなくて」とつぶやくと「正直最初のころは(『週刊少年ジャンプ』のアンケートでも)あまり人気もなかったんです」と笑顔。

 当時の担当編集者と試行錯誤しながら続いた連載。それでも北条は「なかなか人気が上らなかった。あるとき僕の思い通りにやらせてほしいということになって、香の引越しの回でリョウをコミカルに描きました。そうしたらパッと人気が上っていったんです」とエピソードを披露する。

 そこからリョウのキャラクターが「180度とまではいきませんが、大きく変わっていった」という北条。「ソフトボイルドというか、最初のハードボイルド路線を茶化したような展開になっていったんです」。

「ハードボイルドとソフト路線を融合させて、とてもいい感じになっています」(北条司)(C)北条司/コアミックス 1985

 本作は、変遷していくリョウのキャラクターが“ハードボイルド”な時点でのストーリーが元になっている。「結構ハードな部分が多いなか、ギャグをぶち込むのはかなり難しいと思うんです」と製作陣を慮る北条は「でも、亮平さんがとてもうまい具合にギャグを取り込んでいる。ハードボイルドとソフト路線を融合させて、とてもいい感じになっています。脚本にしても監督にしても、演じる方も結構大変だったでしょ?」と労をねぎらう。

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 そんな北条の言葉に鈴木は「バランスは難しかったですね」と深く同意すると「ハード路線に進むと世の中のリョウのイメージとズレてきてしまう。だからといって槇村が死んですぐの話なので、リョウもあまりハイテンションにふざけられない」と苦悩を語る。「僕も作品の大ファンで何度も読んでいるので、『ここでアンケートの人気が上ったんだな』というのは何となく感じていました。先生本人の口からそのエピソードが聞くことができたのは貴重でした」と笑顔を見せる。

 さらに鈴木は「僕が大人になって『シティーハンター』を読み返してすごいなと思うのが、漫画のラストの方で、リョウの育ての親である海原神とのやり取りがありますよね。シリアスな会話のあと、リョウが去っていく海原に対して『プスっ』っとカンチョウして、海原が『面白い男だな』と言って帰っていくのですが、あのハードとソフトの塩梅がすごいなと思うんです」と北条の緩急に脱帽していた。

 「シリアスな展開に自分自身が耐えきれないんですよね」と語る北条に、鈴木は「それって物語を作る側からすると、相当なリスクなんですよね。実写ではそこまでやると、さすがに『ふざけている!』と言われてしまいそうで」と実写ならではのサジ加減の難しさに触れる。

 続けて鈴木は「北条先生は『原作を好きに変えてください』と仰っていただけるのですが、ファンとしてはそれができない。今回は前半のダークな雰囲気を引きずっているだけに、どこまでソフトなリョウを入れるのかというのは、本当に悩みました」と原作が好き過ぎるがゆえの苦労を語っていた。(取材・文:磯部正和)

Netflix映画『シティーハンター』は4月25日(木)世界独占配信

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