朝ドラ「あんぱん」ヒロインの夫役・北村匠海、起用の理由は?
26日、今田美桜が主演を務める2025年度前期の連続テレビ小説「あんぱん」(2025年春放送予定)で「アンパンマン」の生みの親である漫画家・やなせたかしさんがモデルの柳井嵩役を北村匠海が務めることが発表された。NHK放送センターにて行われた会見で制作統括の倉崎憲チーフプロデューサーが北村の起用理由を明かした。
朝ドラ112作目となる「あんぱん」は、アンパンマンを生み出した漫画家・やなせたかしと小松暢(こまつ・のぶ)の夫婦をモデルとしたオリジナル作品。何者でもなかった二人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現したアンパンマンにたどりつくまでの物語をフィクションとして描く。
倉崎はやなせさんについて「我々が知っているやなせたかしさんという実在の人物を描くにあたり、相当な覚悟を持たずに描いてはダメだと思っていました」と当初の構想を回顧。「みんなが思い描くやなせさんのイメージは晩年のやなせさんだと思います。50歳で絵本を出して、アニメになったのは70代になってから。でも、彼の人生はアンパンマンにたどり着くまでもとても魅力的です。いろんな道を歩まれてきた方でもあります。なかなか売れずにいたその若い頃をしっかりと描こうとなった時に真っ先に思い浮かんだのが北村匠海さんでした」と北村の抜てき理由を明かした。
倉崎は「やなせさんは愉快なおじさんというイメージがあると思いますが、若い頃は弱々しい部分も持ち合わせていて、学校にも行きたくなかったというエピソードが残っています。それを取材を進める中で知り、北村さんほど稀有な存在はいない、彼が演じるやなせさんを見たいと思いました」と述べ、「(北村の)ライブに行った時に観客一人一人に話しかける言葉が、今をどう生きるかを体現したような言葉が多かった。彼の発するメッセージにやなせさんとリンクする部分を感じて北村さんにしようと思いました」と話した。
ドラマでは夫婦の子供時代から、アンパンマンを生み出すところまで描くといい、倉崎は「10代になった時に二人(子役から今田、北村)に変わります」と説明しつつ、「ヒロインオーディションをやる前から候補を考えていました。今回ドラマの中で二人は同世代。北村さんがいいなと思っていたけど、ヒロインが決まるのを待って、(並んだ時の)二人のバランスを考え、ぴったりだということで北村さんに正式にオファーをさせてもらいました」と経緯を明かした。高齢になったやなせさんもそのまま北村に演じさせる予定だといい、「今から出来上がる映像が楽しみです」と期待を寄せた。(取材・文:名鹿祥史)