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塩野瑛久「光る君へ」一条天皇VS詮子の御簾を越えた対峙振り返る 吉田羊に「リスペクトしかない」

第18回「岐路」より塩野瑛久演じる一条天皇
第18回「岐路」より塩野瑛久演じる一条天皇 - (C)NHK

 吉高由里子が紫式部(まひろ)役で主演を務める大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)で、66代・一条天皇を演じる塩野瑛久(しおの・あきひさ)。大河ドラマ初出演となる本作では俳優としてさまざまな気付きがあったというが、中でも刺激を受けたのが一条天皇の母で皇太后・詮子を演じる吉田羊との共演。5月5日放送・第18回で激しく感情をぶつけ合うシーンを振り返った。

【画像】一条天皇(塩野瑛久)と詮子(吉田羊)の涙の対峙

 一条天皇はわずか7歳で即位。元服して20日後に道隆(井浦新)の長女・定子(高畑充希)が入内。年上の定子と固い絆を育んでいくが、のちに道長の長女・彰子(見上愛)も入内し、世継ぎをめぐる政争に巻き込まれていく。先月14日放送の第15回に子役の柊木陽太からバトンタッチする形で塩野演じる一条天皇が登場した。当初、一条天皇を演じるうえでは定子と彰子との関係を軸に考えていたという塩野だが、その考えが変わったのが第18回「岐路」で亡き関白・道兼(玉置玲央)の後継者を巡って、一条天皇と詮子が対峙する場面。一条天皇は寵愛する定子の兄・伊周(三浦翔平)を推し、詮子は弟の道長(柄本佑)を推した。

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 「羊さんと一番初めに撮影したのが、母上(詮子)が御簾を越えて一条天皇と対峙するシーンでした。そこでぶつけられた思いが、僕が台本を読んで思っていたものと違っていて、衝撃を受けたんです。すごく胸に刺さるものがあったんですよね。そこで初めて、一条にとっては定子、彰子以前に母上との関係が深いものなんだなと気づいて。羊さんの演技があまりに素晴らしかったので思わず“本当に素敵でした”とお伝えしたら“私も思っていたリアクションじゃなかったから、すごく素敵でした”と言ってくださって。僕としてはその時に出たリアルな感情を出したのですが、こんな表情、感情が湧き上がるとは思いもしなかった。あのシーンは、僕も監督も予想していなかったような空気になったんじゃないかなと思っています」

第18回より一条天皇と詮子(吉田羊)

 加えて、一条天皇の複雑な立場にも思いを巡らせる。「自分の立場を利用しようと思えばいくらでもできる立場です。でも、一条天皇は愛情深い人でもある。人の思いをしっかり受け止めていますし、政のこと、 母上とのこと、定子とのこと……さまざまな感情が一気にごちゃごちゃになって整理がつかない感じがありましたね」

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 母・詮子の説得に押されたのか、一条天皇は悩んだ末、道長を右大臣に任ずる。一条天皇はなぜ母の意見に従ったのか? 塩野はこう解釈を語る。

 「あれはもう母上の圧というか……(笑)。一条天皇もまだ10代で、どこまで自分の勝手にしていいのか迷いがあったんだろうなと。もしかしたら、まだ自分にはわからないことがあるのかもしれない、経験豊富な母上の方が物事が見えているかもしれないと。ただ、その時は羊さんが説得力を持たせるお芝居をされていたので、役としても僕としても疑問は浮かびませんでした。もちろん葛藤はありましたけど……」と振り返りつつ、自身の人生にも重なる部分があったとも。

 「家族、血縁っていうのは切っても切れないもので、息子としてはどうしても放っておけない。そんな思いがどこか重なったんです。母親に一生懸命思いを伝えられて、それをないがしろにして自分の思いだけを貫くというふうにはなかなかできないと感じていて。自分が何とかしなければならないという思いになるので、一条天皇の決断はかなり腑に落ちたんですよね」

 吉田に「リスペクトしかない」と大いに刺激を受けた様子の塩野。「言葉を選ばず申し上げると、キャリアを重ねれば重ねるほど、どこか油断したりないがしろにしがちな部分も出てくると思うんですね。だけど羊さんにはそういったところが一切ないんです。純粋な思いと、ドライ(リハーサル)の段階から本番さながらの感情をぶつけてこられた羊さんに、もうリスペクトしかなくて。これから好きな俳優を聞かれたら“吉田羊さん”って言おうと決めたぐらい。それほど惚れ惚れしましたし、どこまで行ってもあぐらをかいてはいけないと改めて気を引き締めるきっかけになりました」と意を新たにしていた。(編集部・石井百合子)

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