ADVERTISEMENT

トム・ヒドルストン、ドラマ「ロキ」最終話の撮影は「感動的だった」

トム・ヒドルストン
トム・ヒドルストン - Alberto E. Rodriguez / Getty Images for Disney

 ビバリーヒルズにあるサミュエル・ゴールドウィン・シアターで、実写ドラマシリーズ「ロキ」シーズン2最終話のスクリーニングと、パネルディスカッションが、現地時間4月13日にエミー賞に向けて開催。トム・ヒドルストン(ロキ役)、オーウェン・ウィルソン(メビウス役)、ソフィア・ディ・マルティーノ(シルヴィ役)、脚本/製作のエリック・マーティン、監督/製作のアーロン・ムーアヘッドジャスティン・ベンソンの6名が登壇した。

トムヒ、日本のファンと記念撮影!「東京コミコン2023」トム・ヒドルストン写真集

 TVA(時間変異取締局)の秘密が明かされ、ロキの変異体シルヴィが取った行動のために、神聖時間軸が無限に分岐し始めるまで描かれたシーズン1。シーズン2では、なぜかタイムスリップしてしまうようになったロキが、時空を超えて世界が破滅するのを防ぐ方法を模索。最終的には、「裏切り王子」だったロキからは考えられない決断を下すことになる。パネルでは、シーズン2のテーマやロキというキャラクターの進化、トムとオーウェンの友情など、興味深い話が数多く飛び出し、満員の会場は大いに盛り上がった。
 
 約13年にわたりロキを演じてきたトムは、今シリーズの製作総指揮も務めており、誰よりもこのキャラクターを知り尽くしている。シーズン2のストーリー作りは、「発見の連続だった」という。

ADVERTISEMENT

 「僕たちみんなが、一周してスタート地点に戻る方法を見つけたかったんだ。それも新しい意味を持ってね。そこでロキの原点に戻り、彼の傷ついた心や、居場所がないはみ出し者であること、壊れた魂であることに立ち返った。そういう悲しみが不満へと変わり、『アベンジャーズ』で彼に『私はアスガルドのロキ。名誉ある目的を担っている』と言わせたんだ。脚本家ルームのホワイトボードには、“大いなる目的”と書いてあった。ロキにとっての "大いなる目的 "とは何かを再発見しようとしたんだ。それは、彼の謙虚さや好奇心、そして主にメビウスやシルヴィとの新たな友情を通して行われた」とトムは言う。

 「ロキは、メビウスが言うように、時に目的は名誉よりも重荷であることを学ぶ。最高の自分になるためには、過去を受け入れ、過ちや失敗と和解しなければならない。そして彼は新たな目的を見つけるんだ。なぜなら、彼は自分が愛し、大切に思う仲間を見つけからだ。それで、他の人々の命を守るために自分の命を捧げるんだよ」。

 美しくもあり悲しくもあるラストとなったが、その展開を知った時、トムは何を思ったのだろうか。「彼は複雑なキャラクターなんだ。紆余曲折、山あり谷ありで、最高に壮大で、感情的なジェットコースターだった。シーズン1でオーウェンに初めて会ったときに言ったことなんだけど、ロキを演じるうえで僕が大好きなのは、彼がピアノの全音域を持っていて、軽い鍵盤も、重い鍵盤も弾けること。彼の贖罪はとても詩的で、カタルシスがある。僕たちは、彼に安らぎを与え、同時に運命を受け入れて、それをコントロールできるような着地点を見つけることができたんだ」。

ADVERTISEMENT

 さらにトムは「この2つのシーズンのテーマは、“自由意志”についてだったと思う。僕たちは自分の人生をコントロールできるのか? 人は、基本的な性質を変えることが出来るのか? 他の物語ではヴィランとして定義されてきたロキが、一転してヒーローになれるのか? ということで、ほろ苦く、最後には哀愁が漂うけど、僕はとても感動的で充実していると思ったよ」と続けた。

 ハラハラさせられるシーンとユーモアたっぷりな場面の混在も今シリーズの醍醐味だが、ロキとメビウスのブロマンスのような関係も、見ていてとても楽しい。今シリーズでMCUに初参加したオーウェンは、“ロキの百科事典”のようなトムに、多くの事を教えてもらったそうだ。「最初のシーズン、あなた(トム)は僕にすべての情報を与えて、いろいろ説明してくれたけど、それがとても役立った。仕事をするとき、(共演者との)相性がバッチリかなんてわからないものだけど、僕たちは間違いなくそうだったね。楽しかったよ。あなたが僕のネクタイを直してくれたりとかね(笑)。ちょっとしたそういう瞬間が大好きだったよ」とオーウェンは微笑んだ。

 一方トムは、「僕たちは、物事や人生の好みがよく似ていると思う。でも、熱く意見が対立しているときのロキとメビウスを演じるのが大好きだった。ロキとメビウスは、かなり重大な問題を解決するために一緒になった奇妙なカップルだ。ロキにはロキの考え方が、メビウスにはメビウスの考え方がある。僕たちはその対立を演じるのが大好きだったんだ」と振り返る。

ADVERTISEMENT

 シーズン2には、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でアカデミー賞助演男優賞を受賞したキー・ホイ・クアンが、ウロボロス(通称O.B.)というTVAのエンジニア役で新たに参加、コミカルな役どころを好演している。トムは「彼はとてもユニークな熱意を持って演じていると思う。O.B.は何千歳とかなんだ。でも、文句を言わずにみんなの問題を解決している。そこにいることを喜んでいるんだ。彼ほど楽しく温かい人はいないよ」とキー・ホイを絶賛していた。

Alberto E. Rodriguez/Getty Images for Disney

 シーズン2のラストでロキは、時間織り機に向かって歩くうちに神の姿へ変わると、死にかけている時間軸を束ねて王座につき、ユグドラシル(世界樹)という樹木のような構造体に再編成する。パネルの最後、トムはこのシーンの撮影を感慨深げに振り返り、観客をしんみりさせた。「とても感動的な日だったよ。僕にとって旅の終わりだったし、最後の瞬間だったからね。そのシーンはカメラの動きがとても複雑で、微調整が必要だった。ジャスティンとアーロンが、『本番まであと45分ほどある。控室に戻って、この15年間の旅路を振り返ってみたらどうだい』と言ってくれた。すごく励まされたよ。それで僕は、最初の頃のシーンや、すべてのキャスト仲間を見たんだ」と明かすトム。

ADVERTISEMENT

 「クリス・ヘムズワース、アンソニー・ホプキンス、レネ・ルッソ、ケネス・ブラナーのことを考えた。そして、オリジナルの6人のアベンジャーズ……ロバートとクリス、スカーレット、マーク、ジェレミー、クリス。そして『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』『マイティ・ソー バトルロイヤル』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』から『ロキ』シーズン1までずっとね。これまでにできた友人たちとのすべての体験や、幸せな思い出の数々を思い浮かべた。そしてようやく、ロキが、友人や愛する人たちのためにやっていることに気づいたんだ。それで、僕は自分に言った。『トム、友人や愛する人たちのためにやるんだ』とね。そして、僕たちはそれをやったんだよ」

 これで、ロキのストーリーは一応の完結を見たわけだが、また彼が復活することがあるかどうか、トム自身もわからないそうだ。とはいえ、世界中の熱狂的なファンの存在を考えると、近いうちにまたロキを見られる可能性は十分あるような気がする。(吉川優子 / Yuko Yoshikawa)

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ADVERTISEMENT